未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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埼玉県東松山市

昨年7月、南米のチリから遠路はるばる日本にやってきた世界最小の鹿、プーズー。日本で初めてとなるプーズーの飼育と展示を担うのは、埼玉県こども動物自然公園だ。今年2月には赤ちゃんが生まれて、いまやすっかりプーズーは人気者!それにしてもなぜ、そんなに珍しい動物が埼玉に?

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.90 |10 May 2017
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埼玉県東松山市

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#1プーズーフィーバー!

 朝から降り続いていた雨がサッと上がり、太陽が顔を出して急に蒸し暑くなり始めた4月某日のお昼前。ふたりの子どもが、埼玉県こども動物自然公園のなかで、「お母さん、早く、早く!」と言いながら駆けていた。

 お母さんと呼びかけられた女性は、「ちょっとちょっと、走らないで!」と注意しながらも、その顔はしっかりと笑っている。女性の「待ってよ~、どこ行くの~!?」という呼びかけに、前を走る子どもたちは振り向きながら大きな声でこう叫んだ。

「鹿!」

 動物園にきて、子どもたちが「鹿」を目指して走る姿はめったに見られない。日本全国の動物園でほぼ確実に飼育されているけど、決して主役にはならないのが鹿ではないか。
 いや、動物が大好きな2歳の娘を連れて2、3カ月に一度は動物園に行っている僕の主観では、主役どころか、脇役のなかでも「通行人A」ぐらいの存在感しかない。うちの娘は、鹿の前を通ってもほぼシカトしている。

 ところが、埼玉県こども動物自然公園ではいま、鹿ブームが到来。大人から子どもまで、来園者のほとんどが鹿の飼育スペースに足を運ぶ。鹿と言ってもただの鹿ではない。来園者は、昨年7月、地球の反対側の南米チリからはるばる埼玉にやってきた世界最小のシカ「プーズー」を目指しているのだ。

園内を走る汽車型のバスも「プーズー号」に。

 プーズーを国内で飼育・展示しているのは埼玉県こども動物自然公園だけ。プーズーというかわいらしい響きの名前を持つ、世界最小、ここでシカ見られない鹿ともなれば、人気沸騰も頷ける。

 それにしても、そんな珍しい動物がなぜ埼玉に? と疑問に思う方もいるだろう。その裏には、同園の知られざる取り組みと飼育員の奮闘がある。

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未知の細道 No.90

川内イオ

1979年生まれ、千葉県出身。広告代理店勤務を経て2003年よりフリーライターに。
スポーツノンフィクション誌の企画で2006年1月より5ヵ月間、豪州、中南米、欧州の9カ国を周り、世界のサッカーシーンをレポート。
ドイツW杯取材を経て、2006年9月にバルセロナに移住した。移住後はスペインサッカーを中心に取材し各種媒体に寄稿。
2010年夏に完全帰国し、デジタルサッカー誌編集部、ビジネス誌編集部を経て、現在フリーランスのエディター&ライターとして、スポーツ、旅、ビジネスの分野で幅広く活動中。
著書に『サッカー馬鹿、海を渡る~リーガエスパニョーラで働く日本人』(水曜社)。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。