未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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幻の落花生をピーナッツバターに!

NutsによるNutsのための物語

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.93 |25 June 2017
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#2アルバイト先で迎えた転機

遠州小落花を「自分の子どもみたい」と語る杉山ナッツ」の杉山孝尚さん

 高校生の頃、ストリートダンスに夢中になっていた杉山さん。プロを目指してアメリカに飛んだ憧れの先輩の背中を追って、高校を卒業して間もなくニューヨークに渡った。「ひとつのことにのめり込むタイプ」の杉山さんは、本場のダンスを本気で学び、アルバイトをしながら、ブロードウェイやオフブロードウェイの舞台にも立つようになった。やりがいを感じていたけど、次第に「何か違う」という違和感も抱くようになった。

「お金をもらうと、こうしろ、ああしろって指示されて、自分の表現ができない。当時は若かったし昔から我が強いんで、ストリート向きじゃないなと思うようになりました」

 モヤモヤしながらも、ほかに何をすればいいのかはわからない。そんなときに、アルバイトをしていた老舗レゲエレーベル「VPレコード」のショップで「本社で働かないか」という誘いがあった。杉山さんは「多分、人が足りなかったから誰でもよかったはず」と笑うが、そこにはダンスとは違う手応えがあった。

「本社ならアーティストに会えるかも、と思って働き始めたんですよ(笑)。そしたら、配属されたのが著作権やコピーライトを扱っている部署で、完全にデスクワーク。アーティストに会うような仕事じゃなくて、数字を扱うことが多かった。でも、もともと数学は苦手じゃなかったから、けっこう仕事が早かったんです。そうしたら、一緒に働いていた人たちがすごく褒めてくれて」

 アメリカには、才能があると認めたらその人を応援する、背中を押すという文化がある。「近くに大学があるから、もっと勉強してみなよ」という周囲の声に押されて、杉山さんはニューヨーク市立大学のビジネス専門大学バルーク校に入学した。21歳の頃だった。

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未知の細道 No.93

川内イオ

1979年生まれ、千葉県出身。広告代理店勤務を経て2003年よりフリーライターに。
スポーツノンフィクション誌の企画で2006年1月より5ヵ月間、豪州、中南米、欧州の9カ国を周り、世界のサッカーシーンをレポート。
ドイツW杯取材を経て、2006年9月にバルセロナに移住した。移住後はスペインサッカーを中心に取材し各種媒体に寄稿。
2010年夏に完全帰国し、デジタルサッカー誌編集部、ビジネス誌編集部を経て、現在フリーランスのエディター&ライターとして、スポーツ、旅、ビジネスの分野で幅広く活動中。
著書に『サッカー馬鹿、海を渡る~リーガエスパニョーラで働く日本人』(水曜社)。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。