未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
126

東京都国分寺市

西国分寺のカフェ・クルミドコーヒーで開催されている「朝モヤ」。
世の中のさまざまな出来事をテーマに、言葉を交わす。
答えのないその時間を求めて、多くの人が集う。
2012年から続く「哲学カフェ」に参加した。

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.126 |26 November 2018
  • 名人
  • 伝説
  • 挑戦者
  • 穴場
東京都国分寺市

最寄りのICから【E20】中央自動車道「国立府中IC」を下車

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#1「朝モヤ」ってなに?

 11月11日8時45分。よく晴れた日曜の朝、西国分寺駅から徒歩1分ほどのところにあるカフェ、クルミドコーヒーに続々と人が吸い込まれていた。店頭には「朝モヤ開催中です」とある。

 少し緊張しながら扉を開けると、お店のなかは森のなかの喫茶店のような温かな雰囲気で、ほっと一息。にこやかに迎えてくれた店員さんに、朝モヤの取材に来ました、と告げると、2階に案内された。2階に向かうと、すでに5、6人の人が席についていた。年配の方もいれば、20代前半ぐらいの女の子もいる。僕は大きなテーブルの一席に腰掛ける。それからどんどん人が来て、あっという間に人でいっぱいになった。

温かみのある店内。

 数えてみたら女性8人、男性12人でちょうど20人。日曜の朝9時、自宅でまったりしている人が多いだろう時間帯に、これだけの人が集まる「朝モヤ」。初参加の僕は、これから何が始まるのか、ドキドキしていた。

 ところで「朝モヤ」ってなに? とモヤモヤしている方もいると思うので、クルミドコーヒーの公式ブログに乗せられている言葉をここに転載しよう。

 【月に2~3回、日曜日の朝9時~11時
珈琲を片手になにやら始まる会。「正解」のない問いについて、自分や他人の声に耳を傾け、言葉を交わす場のことです。
会が終わった後も、そこでのやりとりについて考え続けてしまったり何かふとした瞬間に、「はっ!そういえばあれってこれと関係あるかも…」などとひらめいたり。
会の最中もその後も「モヤモヤ」するということで、いつの頃からか「クルミドの朝」改め「クルミドの朝モヤ」と呼ばれるようになりました。】
「クルミドコーヒーのブログ」より引用

 僕は9月頃に東京新聞で大きく取り上げられた「朝モヤ」の記事を見て、興味を持った。そこでは「コーヒーよりも対話を目的に客が集まる哲学カフェ」として紹介されていた。哲学といえば、高校の授業にあったな、とか、僕の妹が哲学科を出ているというぐらいで、特に縁もなく生きてきた。でも、「対話を目的に」という言葉がどうにも気になった。

 それで記事中にあった「朝モヤ」を検索して、ブログの文章に行き当たった。モヤモヤって、答えが見つからず、霧のなかで彷徨っているようなイメージがあるし、世間一般的に決して印象の良い言葉ではないと思う。僕はとてもシンプルな性格なので、頭のなかもなるべくすっきり晴れ渡っているほうがいい。

 なぜ、知らない人と対話をしに来るのか? なぜ、モヤモヤを求めるのか? それが知りたくて、「朝モヤ」に突入したのだ。そして僕は、まさにモヤモヤすることになる。でもそれは決して不快ではなく、むしろもう一度味わいたいと思う不思議なモヤモヤだった。

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未知の細道 No.126

川内イオ

1979年生まれ、千葉県出身。広告代理店勤務を経て2003年よりフリーライターに。
スポーツノンフィクション誌の企画で2006年1月より5ヵ月間、豪州、中南米、欧州の9カ国を周り、世界のサッカーシーンをレポート。
ドイツW杯取材を経て、2006年9月にバルセロナに移住した。移住後はスペインサッカーを中心に取材し各種媒体に寄稿。
2010年夏に完全帰国し、デジタルサッカー誌編集部、ビジネス誌編集部を経て、現在フリーランスのエディター&ライターとして、スポーツ、旅、ビジネスの分野で幅広く活動中。
著書に『サッカー馬鹿、海を渡る~リーガエスパニョーラで働く日本人』(水曜社)。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。