未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
137

青森県八戸市

最大7万人を超える人が訪れ、「日本最大」とも称される八戸の舘鼻岸壁朝市。
訪ねてみるとそこは美味しそうな匂いと心地よい混沌に満ちた朝のワンダーランドだった。

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.137 |15 May 2019
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青森県八戸市

最寄りのICから【E4A】八戸自動車道「八戸IC」を下車

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#1早朝6時の人だかり

 前日の冬に戻ったような凍える曇天が嘘のように、4月28日の八戸は晴れ渡っていた。朝6時に車で市街地の宿を出て、およそ10分。館鼻漁港の手前で列を作る車を見て、僕は驚いた。「この時間にこの車! これが日本一と言われる館鼻岸壁朝市か!」。

 並んでいる車はすべて、岸壁にある臨時駐車場に入るために待っているのだ。駐車場整理の係員から「少し離れた場所ならすぐに停められますよ」と言われて、僕は奥の駐車場に向かった。前日に館鼻岸壁を訪ねた時にはほとんど車もなく、だだっ広い、少し寂しいぐらいのスペースだったのに、この日はとんでもない数の車が止まっている。

 車を降りて周りの人たちについていくと、目の前には先が見えないほど軒を連ねる出店とその間を練り歩く人、人、人、人、人! 夕暮れの時間帯なら年に一度の大きなお祭りだと言われても納得してしまうけど、時間はまだ6時過ぎ。僕のこれまでの40年、早朝にこれだけの人を見たことがあるだろうか? たぶん、ない。

 館鼻岸壁朝市は毎週日曜に開催されている。ということは、日曜の朝はいつもこの圧巻の光景が広がっているのだ。それにしても、この朝市はそこかしこから美味しそうな匂いが漂ってくるじゃないか。朝起きてそのまま駆け付けたので腹が減ってきた僕は、鼻息荒く館鼻岸壁朝市に突入した。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。