岩手県遠野市
ビールに使われるホップの産地として、日本屈指の岩手県遠野市。
今、ホップ&ビールを目玉にしたまちづくりが始まっている。
そのひとつの象徴的存在が、2018年5月にオープンした「遠野醸造TAPROOM」。
このマイクロブルワリーから、いろいろな出会いとアイデアが生まれている。
最寄りのICから【E46】釜石自動車道「遠野IC」を下車
最寄りのICから【E46】釜石自動車道「遠野IC」を下車
岩手県遠野市といえば、柳田邦男の『遠野物語』に描かれたことから「民話の里」……を思い浮かべる人もいるかもしれないが、最近は「ビールの里」として盛り上がっている。
ビールに使われるホップの作付面積で国内1位、生産量で国内2位につける遠野市は今、「ホップの里からビールの里へ」というキャッチフレーズで、ビアツーリズムに力を入れている。実は、遠野市とホップ&ビールには50年以上にわたる深い関係があるのだ。
長きにわたって冷害による農作物の不作に悩まされてきた遠野で、ホップの栽培が始まったのは1963年。地元の農協が寒冷な土地でも育つホップに目を付け、キリンビールと栽培契約を結んだのが始まりだった。ちょうどその頃からビールの消費量がグビグビ、いや、グングン伸び始めたこともあって、遠野での栽培面積もどんどん広がり、1987年には生産量日本一に輝いた。
しかし、同時にドイツやチェコから安いホップの輸入が増え、さらに1994年をピークにビールの消費量がガクンと下り坂になったこともあり、遠野のホップ生産もあっという間に下降。生産量はピーク時から約5分の1の43トン(2018)に、最盛期の1974年には239戸いた生産者も40戸弱まで減ってしまった。
生産者の高齢化も進み、後継者も少ない。このままではホップの生産が途絶えてしまうと危機感を募らせた遠野市が、2006年、キリンビールやホップ生産者、市民と連携し、ホップ&ビールで町を盛り上げようという取り組みを始めた。それが「ビールの里構想」。2015年にスタートし、2500人を集めた「遠野ホップ収穫祭」は今年、2日間で1万2000人が参加する遠野の一大イベントに成長した。