未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
162

長野県長野市

夏は避暑地として、冬はスキー場として観光客に愛される長野県・戸隠山。一方でその登山道はかつて修験道の場とされ、登る人に畏怖の念を与える厳しさを誇る。その山で体験したこととは……。

文= 和田靜香
写真= 和田靜香
未知の細道 No.162 |25 May 2020
  • 名人
  • 伝説
  • 挑戦者
  • 穴場
岩手県盛岡市

最寄りのICから【E18】上信越自動車道「長野IC」を下車

【E18】上信越自動車道「長野IC」までを検索

最寄りのICから【E18】上信越自動車道「長野IC」を下車

【E18】上信越自動車道「長野IC」までを検索

#1戸隠山に移住しようと訪ねてみた

長野市内から車で1時間ほど。戸隠山を登る道のりは急峻で狭く、車ですら高い所や坂道が苦手な私は途中で何度もヒヤヒヤした。その登山道はかつて「修験道」の場とされ、「蟻の戸渡り」だの「剣の刃渡り」だの、字で見ただけで青くなるような切り立った行程が続くとオンラインガイドで読んではいたものの、車道まで急坂続きとは。車がんばれ、車がんばれと子どものような掛け声を心の中で唱え、停まったときにはふーっと大きく息を吐いた。

着いたそこは長野市役所の戸隠支所。えっ、市役所?何の用事で?実は初めて戸隠を訪れた2013年、私は「地域おこし協力隊」という総務省の移住交流プロジェクトに応募し、面接を受けようとしていたのだ。

人生には誰しも、いい時とうまくいかない時がある。今、新型コロナウイルスの影響によって世界の多くの場所で時が止まっているように、その頃の私もまたライターの仕事がほとんどなくなってしまい、にっちもさっちも身動きがとれないでいた。

そんな中で、ふと目にした「戸隠移住」の案内。そこがどんな場所か見たことも行ったこともないまま、藁をも掴むような気持ちで応募していたのだから、どれくらい切羽詰まっていたか想像していただけるだろう。

初めて行った戸隠はそんなわけで、ひたすら剣呑な山に思えた。牧歌的な里山を勝手に想像していたが、山の暮らしは移動するのも大変だ。支所の窓から外を見ると、山肌に貼り付くように畑が作られ、お年寄りが二人座り込んで農作業をしている。ああ、私には無理だ、ここには住めない。そう思いながら受けた面接は当然ながら失敗。その後、落選の通知を受け取ることになるのだが、それはとりあえず置いておく。その日は、面接が終わった後に「戸隠を見てもらいたいんです」と、市役所の職員の方が車に乗せてくれ、私や他の受験者たちを方々に案内してくれた。

このエントリーをはてなブックマークに追加

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。