未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
164

長野県茅野市

旅には、目的地がある。その場所に向かって、陸海空の道を行く。その時間は旅の過程に過ぎないけど、未知の道のりだからこそ、思い出深い旅路もある。今思い出してもドキドキする旅路を振り返ろう。

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.164 |25 June 2020
  • 名人
  • 伝説
  • 挑戦者
  • 穴場
長野県茅野市

最寄りのICから【E20】中央自動車道「諏訪南IC」を下車

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#1雪原に、ひとり

「……」

カーナビに搭載された女性の声が「目的地に着きました」と告げた時、僕は茫然としていた。しばらく前から、ナビを見て、なんかおかしい、どうもおかしい、ずいぶんおかしいと思いながら車を進めていたのは事実だ。

それでも「いやいや、まさかそんな、勘弁してくださいよ!」「もう、冗談はよしこちゃん!」と心のなかでナビにツッコミを入れ、この先に希望の光、いや、宿の明かりが見えるだろう、見えるはずだと信じていた。その期待は、いま目の前で舞い散っている粉雪のように吹き飛んだ。

ナビが「ご案内を終了します」と僕に告げたその場所は、雪深い山の麓。軽自動車がようやく1台通れるほどの道幅で、すぐ脇には1メートルほどの雪の壁が迫る。前も後ろも見渡す限り真っ白、こんもりと雪が積もった平原にある孤独な一本道だった。

もちろん、前後に車は皆無、人間なんているはずもない。すっかり陽が落ちて、車のヘッドライトを消したら、言葉通りの暗闇。耳に届くのは、降りしきる雪を除けるワイパーのカシャーッ、カシャーッという音だけ。僕の脳内で、「ヤバい」という3文字がウルトラマンのカラータイマーのように点滅していた。

  • 小国町の景色。この場所が夜になって真っ暗になった状態を想像して読んでください。
  • 当時、小国町でマタギの頭領を務めていた舟山堅一さんの後ろ姿。
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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。