未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
165

関東近郊

今では自分にとってなくてはならないコミュニティの存在がある。その仲間たちと出会ったのは、苦渋の決断の末に行ったバス旅行。年月を経て変化する大勢での旅の楽しさとは。

文= 小野民
写真= 小野民
未知の細道 No.165 |10 July 2020
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関東近郊

#1行くべきか、行かざるべきか。

2011年の秋、私は猛烈に悩んでいた。もう20代の半ばを過ぎていたけれど、今思えばずいぶんと青臭い悩みごとだった。

付き合って半年ほどの彼氏から、「年末年始に恒例の旅行がある。20人くらい来るんだけど、一緒に行かない?」と誘われたのだ。気軽に誘いに乗ればいいものの、思春期から「大人数が苦手」という呪縛があった私は、この誘いにかなりひるんだ。だって、部活もサークルも人と関わりたくなくて全力で避けてきた。

一方の彼は、夜遊び大好き、クラブ通いが板についたシティーボーイ。その彼の大学時代からの仲間ってどんな人たちだろう。けたたましいクラブの光景を思い浮かべて、ひとり憂鬱になっていた。

進学も、就職も、退職も、ほとんど何も「相談」をしてこなかった私だけれど、このときばかりは母に電話で相談した。母は内心、あきれていたと思う。「どっちでもいいんじゃないの。でも、今回行かなかったら、一生その会には行かないんじゃない?」

この母の言葉を思い出すと、私は今でも泣けてくる。この一声で私の人生は変わった。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。