未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
ver276

八ヶ岳の森で生まれる「作りたい」衝動 “革靴が好きすぎる男”が世界一になるまで

文= ウィルソン麻菜
写真= ウィルソン麻菜
未知の細道 No.ver276 |10 March 2025
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#4革靴との出会いは友人の一言

ところが、会社員生活は2年で一旦の幕引きとなる。革靴職人になるために、仕事をすっぱり辞めてしまったのだ。そこに至るまでに少し時を戻すと、菱沼さんと革靴の出会いは大学1年生まで遡る。

「グッドイヤーウェルテッド製法って知ってる?」

大学の友人との会話のなかで耳慣れない言葉が気になった。その友人は靴屋のアルバイトで学んだことを何気なく話しただけに過ぎないのだが、その小さな一言が菱沼さんのものづくり欲をくすぐったのかもしれない。

「そういう専門用語とか、ちょっとかっこいいじゃないですか。当時は靴を作りたいという気持ちではなくて、単純に『そんな製法あるんだ』と思ってネットで調べて、実際に革靴を買ってみたんです」

初めて買ったのは、ABCマートで手に取った革の1万円のブーツ。それから菱沼さんはじわりじわりと革靴の世界にのめり込んでいく。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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