未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
96

神奈川県三浦市

別名「奇跡の森」とも呼ばれる小網代の森。なにが、どうミラクルなの!?と気になって向かったのは三浦半島。川の源流から干潟まで歩きながら全身で感じた、稀有な自然とそれをお世話する人間たちの優しい物語。

文= 川内有緒
写真= 川内有緒
未知の細道 No.96 |10 August 2017
  • 名人
  • 伝説
  • 挑戦者
  • 穴場
神奈川県三浦市

最寄りのICから【E16】横浜横須賀道路「衣笠」を下車

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#1アゲハ蝶が舞う明るい谷

 目の前を巨大なアゲハ蝶がひらひらと優雅に横切った。急いでカメラを構えるが、ファインダーに入らない。蝶はしばらく草木の合間を飛び回ると、谷の奥深くにさっと飛び去っていった。
 わあ、あんな大きなアゲハ蝶を見たのはいつぶりだろう!?

「ジャコウアゲハですねー」

 ニコニコと教えてくれるのは、隣を歩くガイドの西池淳一さん。「ゆっくりお散歩しながら谷を降りていきましょう」
   私たちは、中央の谷と呼ばれる場所を歩いていた。

「ここには何種類くらいの生き物がいると思いますか」
 青い色のトンボ、森の中をはねまわるバッタ、小さなヤモリ……
 歩き始めてたった2分くらいで多くの生き物に遭遇していた。
 なんだか手品でも見ているみたい。ほんの五分までコンビニがあって、車がビュンビュン走って、排気ガスと熱気で息が苦しくなりそうな場所をウロウロしていたのに──。

 うーん、と首をひねっていると、「二千種類と言われています。野うさぎもリスも狸もいます」。森の奥には、フクロウも住んでいるそうだ。
 二千種類。その大きな数字がうまく飲み込めなかった。なにしろ、普段私が見ている生き物といえば、猫と、犬とカラスとダンゴムシくらいなのだ。

 ここは小網代(こあじろ)の森。
 一度聞いたら忘れられないようなかわいらしい名だが、別名“奇跡の森”とも呼ばれる。
 京浜急行で品川から75分、都心から車でも90分ほどでたどり着くのは、神奈川県の三浦半島。油壺と聞けば「ああ、あの辺か」とわかる人も多いかもしれない。そう、つまりは東京の首都圏にこんなスゴイ場所があるのだ。

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未知の細道 No.96

川内 有緒

日本大学芸術学部卒、ジョージタウン大学にて修士号を取得。
コンサルティング会社やシンクタンクに勤務し、中南米社会の研究にいそしむ。その合間に南米やアジアの少数民族や辺境の地への旅の記録を、雑誌や機内誌に発表。2004年からフランス・パリの国際機関に5年半勤務したあと、フリーランスに。現在は東京を拠点に、おもしろいモノや人を探して旅を続ける。書籍、コラムやルポを書くかたわら、イベントの企画やアートスペース「山小屋」も運営。著書に、パリで働く日本人の人生を追ったノンフィクション、『パリでメシを食う。』『バウルを探して〜地球の片隅に伝わる秘密の歌〜』(幻冬舎)がある。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。