高速道路を走行中に、黄色いパトロールカーを見かけたことはありませんか?実はあの車こそが、私たちのドライブの安全を陰で支えている「交通管理隊」です。
今回は、NEXCO東日本の交通管理隊「ネクスコ・パトロール関東」に密着し、普段は見えない高速道路の裏側をご紹介。どんな仕事をして、どんな想いで現場に立っているのか、隊員の声をお届けします。
今回は「ネクスコ・パトロール関東 三郷事業所」にお話を伺いました

今回は「ネクスコ・パトロール関東 三郷事業所」を訪問し、東京外環自動車道(通称:外環道)をパトロールするお二人にお話を伺いました。
★眞壁 翔さん(写真左)
ネクスコ・パトロール関東 三郷事業所 安全班
24歳。2022年6月に三郷事業所へ入社。高速道路やテレビで見た黄色いパトロールカーの活躍に憧れ、交通管理隊になる。
★吉見 一麻さん(写真右)
ネクスコ・パトロール関東 三郷事業所 管理班
33歳。2023年8月に三郷事業所へ入社。前職は営業職。娘と息子にもわかりやすく説明でき、かっこいいと思ってもらえる仕事を目指し、交通管理隊に転職。
高速道路の安全を守る「交通管理隊」とは?業務内容と1日のスケジュール
――本日はよろしくお願いします!はじめに、交通管理隊の役割を教えてください。
吉見:高速道路を24時間365日、交替でパトロールをしています。決まった時間・ルートを2人1組で巡回し、待機中に緊急通報が入れば速やかに現場へ出動します。

現場では、二人のうち一人は監視員として旗を振り、通行車両に注意や車線変更を促します。もう一人は作業員として監視員から警笛等で合図をもらい、ほんの数秒間で落下物などの処理にあたります。


――どんなときに現場へ出動しますか?
眞壁:外環道は非常に交通量が多く、車間距離が詰まりやすいため、追突事故への出動が多いです。ほかにも故障車の対応や、風の強い日には落下物の処理に追われています。
――パトロール中は高速道路のどのようなところに注意していますか?

眞壁:道路の全体を隅々まで確認しますが、特に落下物と路面の損傷に注意しています。タイヤがパンクする原因になったり、避けようとして他の車と衝突したり、事故やトラブルの元になるので、道路の状況をよく見るようにしています。
吉見:あとはパトロールカーから高速道路上に降りるときですね。外環道は貨物車や廃材を積んだ車両が多く、仕事で利用するドライバーが多い路線なので、長時間運転による疲れから注意力が落ちてしまっているケースもあります。車外に出るのは一番危険が伴う場面なので、より気を引き締めて、緊張感を持って作業します。
――1日のスケジュールと、主な業務の流れを教えてください。

眞壁:出勤後、まずアルコールチェックを行います。チェックが終わると、前に勤務していた隊員から引継ぎと申し送りをもらい、自分たちが乗るパトロールカーの車両点検に移ります。その後は体をほぐすためにラジオ体操を行ってからパトロールに出動します。
吉見:出勤後、パトロールに出動するまでの間に、事務所で事務作業をして、緊急出動に備えて準備しておきます。交通管理隊は高速道路をパトロールしているイメージがありますが、意外と事務作業も多い仕事です。
また、パトロールカーが事故や故障を起こさないよう、毎日の車両点検時にタイヤやオイル・冷却水の状態、現場で使う規制器材の数量や身を守る装備を重点的に確認します。
――パトロールはどれくらいの時間出動していますか?

吉見:1回の定期巡回の走行時間は、少なくとも1時間半〜2時間、長い区間でも2時間〜2時間半程度です。巡回の時間は少し重なっていて、たとえば、パトロール中の隊が10時半に帰ってくるとしたら、次の隊はその前の10時15分に出発します。三郷事業所では基本日勤は2回、夜勤は3回の定期巡回があり、24時間どこかに必ずひとつの隊が巡回しています。
――日頃は訓練も行っているそうですが、どのようなことをしていますか?
吉見:旗振り、落下物の回収や車両規制等の訓練を行い、基本動作の確認をしています。他の隊員とのコミュニケーションをとったり、作業に慣れてしまうと危険が伴うため、基本動作を思い返すことが目的です。
事業所には約40人の隊員がいて、パトロールは毎回違う方と組むことが多いです。基本動作は同じですが、人それぞれで動き方が変わるので、日々の訓練で掛け声の確認をしておいてよかったなと実感します。
眞壁:私は訓練で消火器の使い方を学んだことがあり、その数週間後に車両火災の現場に出動して、パトロールカーに積載している消火器で初期消火をしました。訓練をするまで消火器を触ったことがなかったので、訓練でやっていてよかったと思いました。
実はこんな仕事も!意外と知られていない現場のリアル

――高速道路の落下物にはどんなものがありますか?
眞壁:貨物車がバーストしたときのタイヤの破片と、鉄・木材が多い印象です。風が強い日は落下物の件数がすごく増えて、荷台からスクラップ片や廃材等が風で飛ばされ、高速道路上などに落下することが多いですね。
もし落下物を見かけた際は、お近くのサービスエリア、パーキングエリアに寄っていただき、緊急ダイヤルの「#9910」に通報していただければ、我々が回収に向かいます。
吉見:落下物は季節によって種類が変わります。たとえば3月の引っ越しシーズンには、業者を使わず、自分たちで軽トラックに積んだ引っ越し用の荷物が、ダンボールごと落ちていたりします。
1日を通して落下物がない日はありません。危険なもの以外にも車線上や路肩、中央分離帯等にある落下物は通報が入る前に我々が回収します。
――落下物はどのように管理されていますか?
吉見:落下物には商品価値があり、これは持ち主から連絡が来るだろうなという物は、一定期間、事務所で保管します。どこで拾ったか、どういったものかは全て記録していますので、本人の手元に戻ることもあるかと思います。財布やスマートフォンを探してくれという連絡もあり、そういった貴重品は警察に引き渡します。

――落下物の中で驚いたもの、回収が大変だったものは何ですか?
眞壁:私が一番驚いたのは、お風呂の浴槽が落ちていたことです。大きいものは支障のない路肩等に寄せますが、お風呂の浴槽ほど大きいものとなると、パトロールカーには積めないので、関係機関の方に連絡して回収していただきました。
吉見:回収が大変だったのは、事故車から落ちたゲームセンターのメダルです。数千枚が路上に散らばってしまい、パトロールカーに積んでいるほうきでは滑ってしまって、一人では回収しきれませんでした。そのときは緊急作業という形で上下線を規制して、別の隊や関係機関と連携して回収しました。
眞壁:意外な話だと、豚が高速道路を歩いていたという話を先輩から聞いたことがあります。横転したトラックが積んでいた豚が逃げ出したそうです。
吉見:私は生きている動物を2、3回捕まえた経験があり、つい最近は夜間に子猫を保護しました。あと、草加IC付近で大きなタヌキも捕まえましたね。そのときは道路を一時通行止めにして、動物捕獲用の手袋を二重に装着し、成人男性二人がかりで対応しました。タヌキはどれほど力があるか分からなかったので、すごく怖かったです。

――事故や故障車について、トラブルが起こりやすい時期などはありますか?
眞壁:ゴールデンウィークやお盆などの連休ですね。交通量が多い中で普段高速道路を運転しない方も運転するので、事故が起こりやすいです。夏場になるとタイヤが熱でバーストしてしまうので、暑い時期は故障車の対応に追われます。
時間帯だと、朝方の通勤で急いでいるときや、夕方の西日や薄暗い中で見通しが悪いときも事故が起きやすいです。
吉見:帰りを急ぎたい、早く出勤したいという気持ちで、譲り合いの精神が欠けてきてしまうと、接触や追突の事故が起きやすくなります。
深夜帯は日中とは事故の傾向が異なり、単独事故が多くなります。居眠り運転により事故を起こし、スピードが出ていると車両の損傷が大きくなることもあります。
――夜間や悪天候の場合、現場での作業や道具はどう変わりますか?
吉見:夜間に車外に出るときは、LEDの光が点滅するLED発炎灯「ピカッ太®」ロングシーケンシャルという誘導棒を使います。雨や曇りなどの悪天候で見通しの悪いときも、三角表示板だけでは通行車両に気づかれないので、気象状況に合わせて有効な器材を使います。また、器材のなかで一番目立つ発炎筒は、昼夜問わずよく使いますね。

吉見:あと、隊員が着ているベストは通行車両のライトで反射するようになっています。我々はドライバーに気づいてもらわないと、接触事故に遭ってしまうので。ペンライトなど光る物を身に付けて安全確保をしている隊員もいますね。
眞壁:現場では隊員の存在をどれだけアピールできるかが重要なので、ドライバーに気づいてもらえるよう、目立つことを心がけています。

交通管理隊に聞いてみた!仕事のやりがいと安全運転のアドバイス

――交通管理隊のお仕事で大変だと感じることは何ですか?
眞壁:夜勤がある仕事なので、時間や生活リズムの管理ですね。また、現場では暑さ寒さに関わらず業務を行うため、季節や天候に左右されるのも大変だと感じます。
吉見:現場では器材をもって走るので、体力面の負担も大きいです。規制を張る長さによっては長距離を走ることもあるので、自主的にトレーニングをして体力をつけている隊員もいます。
眞壁:高速道路は平らに見えるんですが、水はけがよい構造になっていて、実際に路上を歩いてみると、けっこう傾いています。そのようなところで体力が奪われてしまいますね。

――2人1組のチームで仕事をするうえで、心がけていることを教えてください
眞壁:普段から事業所の皆さんとコミュニケーションをとって、誰とでも気軽に話せるような環境づくりを大切にしています。現場ではお互いの意思疎通が取れていないと、勝手な動きで戸惑ってしまいますし、一瞬の判断ミスが命に関わります。
吉見:交通管理隊は、様々な職場経験を経て入社する隊員が多く、年下の先輩や年上の後輩と接することがあります。眞壁さんは私より年下ですが、入社は先で。そういった年齢差による関係で、相手に気を遣わせないよう心がけていますね。
――交通管理隊をやっていてよかったと感じた瞬間やエピソードはありますか?
眞壁:事故や故障車の現場に行って、無事に作業を終えられたときです。車線上に事故車や故障車が止まっていると、後続車が気づかず追突してしまう危険があります。私たちが規制を張って、二次被害を未然に防げたときは、やっていてよかったなと思います。
吉見:私は子どもが二人います。はたらくクルマ等のイベントでパトロールカーを展示するときに子どもたちと一緒に写真を撮ったり、子どもが幼稚園のお友達に「パパはこんな仕事をしているんだよ」と話してくれたりします。なかなか経験できることではないと思うので、そういったときにこの仕事に就いてよかったなと実感します。

――高速道路を走行する際、ドライバーが気を付けるべきことは何ですか?
吉見:貨物車のドライバーには、短い距離でも出発前に荷物を確実に固定し、積載物を落とさないよう対策をとっていただきたいです。手間だとは思いますが、バイクに乗る人が落下物に乗り上げてしまうと、大きな怪我や命に関わることになりますので。
また、パトロールカーがサイレンを鳴らしている緊急走行中は、無理のない範囲で道を譲っていただきたいです。気づいてからでもいいので、少しでも車を避けていただけると、早く現場に到着でき二次事故防止に繋がります。

――高速道路を運転するドライバーに向けて、安全運転のアドバイスやメッセージをお願いします。
眞壁:高速道路を走るときは、まず前の車との車間距離を十分に確保することを心がけてください。前の車が落下物を見つけて急に止まったとき、車間距離が空いていれば余裕をもって止まれます。
あとは出発前の車両点検ですね。タイヤの空気圧と燃料の残量を確認して、時間と心に余裕を持って運転していただき、お出かけや旅行を楽しんでいただきたいです。
吉見:渋滞のときは、無理に追越車線を走るよりも、車間距離をしっかりとって左側の車線を走るほうが意外と早かったりします。いずれ渋滞は解消しますので、急がずに余裕をもって走行していただきたいと思います。
交通管理隊とともに、安全第一で高速道路を走ろう

日々のパトロールや意外な落下物、事故が起こりやすい要因などをお話しいただき、交通管理隊の実態と、高速道路の裏側に迫りました。
高速道路の安全を陰で支えている交通管理隊は、ドライバーが安心して運転できるよう、現場での対応に当たっています。初心者からベテランまで、多くのドライバーにとって安全意識を見直すきっかけになれば幸いです。
交通管理隊とともに安全運転を心がけて、高速道路のドライブを楽しみましょう!