それにしても、である。「うしづま水辺の楽校」は子どもたちにとっては最高の遊び場だけど、期間中、週休1日で通い、子どもたちを見守る世話人の気苦労は想像もつかない。「めちゃくちゃ大変ですね……」と呟いた僕の言葉に苦笑しながら「そうだね」と頷く荻野さん。それでも続けられるモチベーションは何でしょう? と聞いたら、荻野さんは即答した。
「楽しいからだよね。やっぱり、子どもたちが喜ぶ笑顔を見ると嬉しいよ」
子どもにとって、夏休みの思い出は特別だ。まして、川で思う存分に泳ぎ、全力で魚を採り、友だちと腹の底から笑う体験は忘れられない記憶になるだろう。前身の安部川フォーラム時代、安部川で遊んだ子たちはすでに成人している。もし地元に住んでいれば、あるいは、夏に里帰りをしていたら、自分の子どもを安部川に連れて行こうと思うはずだ。
安部川フォーラム、そして「うしづま水辺の楽校」の存在によって、安部川の記憶は世代を超えて引き継がれてゆく。その水辺で、世話人たちは今日も汗を拭きつつ微笑んでいる。

川内イオ