未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
201

富山県南砺市

我が家では毎年1月に、味噌作りをする。調味料の添加物や製法、生産者にこだわりたくなったのをきっかけに、もう15年ほど続けているのは、なんといってもおいしいからだ。はじめの数年は調べた通りの配合で、そのあとは麹を増やして甘めにしてみたり、塩分濃度を変えたり、自分好みにできるようになってきて、ますます手放せなくなった。そんなお味噌に欠かせない麹を作っている、石黒種麹店の石黒(いしくろ)さんに会いに行った。

文= 吉川愛歩
写真= 吉川愛歩、石黒種麹店
未知の細道 No.201 |11 January 2022
  • 名人
  • 伝説
  • 挑戦者
  • 穴場
富山県南砺市

最寄りのICから【E41】東海北陸自動車道「福光IC」を下車

【E41】東海北陸自動車道「福光IC」までを検索

#1自分だけの味

「味噌作り」というと、なんだか難しそうに聞こえてしまうのだが、そんなことはない。材料は、大豆と麹と塩のたったの3つ。茹でた大豆を潰し、麹と塩とともに混ぜて8ヶ月ほど寝かせておくという、とてもシンプルな工程でできあがる。

かなり大雑把なわたしでも、カビて食べられなくなった! なんてことは一度もない。仕込みさえすれば、あとは時間が料理してくれるのをじっくり待てばいい。お味噌汁にはもちろん、きゅうりにつけたり味噌田楽にしたり、カレーの隠し味に、焼きおにぎりに……、使いたいシーンは山ほどある。自家製味噌は本当においしいのだ。

ただ、我が家の味噌作りに問題があるとすれば、その量である。一年のうちに何度も味噌作りするマメな人もいるそうだが、我が家では冬のある日に一年分をまとめて仕込むので、一日がかりの作業になる。

我が家の年間味噌消費量は、15 キロほど。15キロの味噌に必要な大豆は、およそ3 キロ。大豆は茹でる前に一晩水に漬けて戻さなくてはならないので、すべての大豆を浸水させる容器を掻き集めてくるところから味噌作りがはじまる。

その日のキッチンの風景といったらすごいのだ。大豆と水の入ったボウルやら大皿やらバケツやらカメが、雨漏りしている家みたいにいろんな場所に並ぶ。翌朝起きると大豆がぷっくりと二倍くらいに膨らんでいるから、今度はそれをありったけのお鍋に入れ、ありったけの熱源にのせて茹でていく。

ストーブの上も貴重な熱源(ただし、ふきこぼれることもあるので自己責任で)。

茹であがりまでは圧力鍋で20分くらい、普通のお鍋だと4時間はゆうにかかる。朝からコトコトコトコト茹でては潰し、茹でては潰しを繰り返し、すべての大豆が潰れるころには陽が落ちかけている。この工程が本当に面倒すぎて、「来年は絶対やめる……やめてやる……」と呟きながらやっている。

このエントリーをはてなブックマークに追加

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。