未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
235

静岡県沼津市

大正時代から深海魚漁が盛んな静岡県沼津市戸田(へだ)。そこは日本一深い駿河湾のようなディープな魅力に溢れていた。

文= 白石果林
写真= 白石果林
未知の細道 No.235 |12 June 2023
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静岡県沼津市

最寄りのICから【E1】東名高速道路「沼津IC」を下車

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#1地域の暮らしを支える深海魚漁

5月某日。私は戸田港に座って、駿河湾を眺めていた。髪も肌もまったくベタつかない爽やかな潮風が、汗ばんだ体を冷やしてくれる。30分ほど前に通った真城峠(さなぎとうげ)の山道に翻弄されヘロヘロになっていたのだが、すっかり気分が良くなった。

観光客は少なく、数隻の船と釣り人がちらほらいる程度で、人の声は聞こえてこない。サァーという静かな波の音と、カモメの鳴き声がクゥーと聞こえるだけの穏やかな海だった。遠くに見えるのは、ここから車で10分ほどの人気観光スポット、御浜岬(みはまみさき)だ。

この日は雲が多く見えなかったものの、本来なら正面に立派な富士山が見えるらしい。

海と山に囲まれた戸田のまち。

私が訪れた戸田地区は沼津市の南部、西伊豆に位置する。日本一の深さを誇る駿河湾に面した小さな港町で、人口は3000人以下。戸田では1917年(大正6年)から続く深海魚漁が、人々の暮らしを支えてきた。静岡県沼津市は深海魚でまちおこしをしており、なかでも戸田観光協会は「深海魚の聖地」を自称している。

その「聖地」発、食用に向かない深海魚の詰め合わせを送るサービス「ヘンテコ深海魚便」が注目を集めていると知った私は、「誰が? 何に使うの?」と興味津々で戸田を訪れたのだった。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。