未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
257

栃木県那須郡

栃木県那須町にある森林ノ牧場は、森のなかで牛を放牧している。大ヒット商品「バターのいとこ」の共同開発者で、「酪農を基点にしたコミュニティを作りたい」と語るオーナー、山川将弘さんの歩みを追った。

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.257 |27 May 2024
  • 名人
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栃木県那須郡

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#1クリーミー&シルキーな牛乳

この牛乳は、牛乳じゃない……と書くと誤解を生みそうだけど、それが僕の第一印象だった。一度、口に含むだけで、違いがわかる。スーパーやコンビニで売っている牛乳とは、まったく別物なのだ。舌の上でとろけるような甘みがあり、まるで上質の生クリームのよう。でも、口当たりはシルクのように滑らかで、身体にスッと溶け込んでいくような爽やかさもある。

森のなかで伸び伸びと過ごしていた子牛。

その牛乳は、那須塩原駅から車で30分ほどの場所にある森林ノ牧場で作られている。この牧場で暮らす20頭の牛たちは、国内の乳牛の0.8%しかいない淡い茶色をしたジャージー牛。牛乳は濃厚な味わいが特徴だ。

約8ヘクタール(東京ドームで換算すると約1.7個分)の牧場で放牧されている牛たちは、一頭、一頭、名前で呼ばれている。牧場はなだらかな丘にあり、森を切り拓いた放牧地の一部は、来場者に解放されている。僕が訪ねた日も、今年生まれたばかりの子牛が森のなかで気ままに過ごしていた。

人に慣れていて、撫でることもできた。

なんとも微笑ましいその姿を間近に臨むことができるこの景色は、決して当たり前ではない。森林ノ牧場の代表、山川将弘さんの並々ならぬ覚悟で育まれてきた。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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