未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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“究極で幻の珍味”を求めて三千海里!?

「海のギャング」を味わう気仙沼の旅

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.58 |10 January 2016 この記事をはじめから読む

#8大満足のサメ三昧

市場の目の前にある回転寿司屋で注文したモウカの星。鮮度が良いから色も鮮やか!

 チェックアウト後、まずは前日空振りだった「お魚いちば」に。売り場に直行すると、ありました、モウカの星! 見た目もプリップリで鮮度が伝わってくる。自宅用とお土産用に2つ購入した。
 その後、朝、市場からいったん引き揚げる時に見つけて、「市場も近いし、シャークミュージアムに併設されてる店だし、ここならモウカの星もあるだろう」と目を付けていた「いちば寿司」へ行くと、予感的中! 着席するなりモウカの星を注文して、現地でしか食べられない幻で究極の珍味ついに実食! 数時間前に市場で見た心臓だと思うと親近感がわいてくる。酢味噌につけて、いただきます!

 

 見た目は真っ赤だけど、生臭さは全くなし。コリコリと歯ごたえがあって、食感はレバ刺し、あるいはハツの刺身のようだけど、味はもっとあっさりしていて、口に含むとフワッと風味が広がる。僕はレバ刺しやハツ刺しが特に好物ではないけど、これは美味い!
 モウカの星に出会えてテンションが上がった僕は、調子に乗ってフカヒレ寿司、フカの生ハム寿司も注文。どちらも初体験だったけど、これがまた上品な味なんです!

フカヒレ寿司(左)、フカの生ハム寿司(右)も美味でおススメ!
フカヒレ寿司(上)、フカの生ハム寿司(下)も美味でおススメ!

 シャークミュージアム併設の寿司屋でサメの心臓、ヒレ、肉を食べて、サメ三昧の僕は、お腹いっぱいの大満足で帰路に就いた。時間がなくて断念したけど、今度はサメ肉バーガーを食べたい。
 これまでは、なんとなく悪役的なイメージしかなかったサメだけど、これからはサメを見たら気仙沼を思い出して「……美味そう」と思ってしまうだろう。
 ちなみに、フカヒレ、シャークミュージアム、モウカの星などなど、全力でサメをアピールしているように見える気仙沼の観光キャラクターが、なぜホヤをモチーフにした「海の子 ホヤぼーや」なのかは謎だ。海のギャングとも称されるサメだけにもしかしたらイメージ低下を気にしているのかもしれないけど、気仙沼はサメの水揚げ日本一で、なおかつこんなに種類豊富で美味しいサメ料理がある!しかも、調べてみたらふか肉は牛,豚,鶏肉と比べて低カロリー・高たんぱくで必須アミノ酸をバランスよく含み、DHA、コラーゲンも豊富!
 こういうことは日本の多くの人にまだ知られていないのだから、もっとアピールしなきゃもったいない! そう思うのは、サメ珍味を満喫した僕だけではないだろう。

 
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未知の細道 No.58

川内イオ

1979年生まれ、千葉県出身。広告代理店勤務を経て2003年よりフリーライターに。
スポーツノンフィクション誌の企画で2006年1月より5ヵ月間、豪州、中南米、欧州の9カ国を周り、世界のサッカーシーンをレポート。
ドイツW杯取材を経て、2006年9月にバルセロナに移住した。移住後はスペインサッカーを中心に取材し各種媒体に寄稿。
2010年夏に完全帰国し、デジタルサッカー誌編集部、ビジネス誌編集部を経て、現在フリーランスのエディター&ライターとして、スポーツ、旅、ビジネスの分野で幅広く活動中。
著書に『サッカー馬鹿、海を渡る~リーガエスパニョーラで働く日本人』(水曜社)。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
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