1ヶ月後、私は早速、札幌の街に降り立っていた。札幌では来年、第二回目となるアートプロジェクト、「札幌国際芸術祭2017」が開催される。
街なかにもちらほらチラシなどがあり、街をあげての芸術祭ムードになりつつある、そんな感じが伝わってきた。
街の中心から少し離れた北24条駅、そのほど近くに、目指す「サロンコジカ」はあった。 白い外壁のすっきりした洒落た建物だ。扉をそうっと押すと、入り口には小さなカフェがあって、スラリとした男の人がお店を切り盛りしている。 名前を告げると、少しお待ちくださいね、と言われて、私ははじめてサロンコジカを見渡した。 うわ、おしゃれな空間だなあ……、とまず私は思った。カフェの奥の左側にはホワイトキューブ(白を基調としたギャラリー空間のこと)があり、カラフルな平面と立体が、テンポよくきっちりと展示されている。 うん、これはなかなか良い展示だ、と私はすぐに思った。廊下を挟んで右手には白いドアがあり、ドアの向こうになんのスペースがあるのか、見ただけではちょっとわからない。
すると、扉の奥から大雅さんが、いらっしゃい! と現れたのであった。右手のドアの向こうはなんと大雅さんと、もう一人の弁護士による共同運営の弁護士事務所「札幌北商標法律事務所」だったのだ。2度目の対面である大雅さんは、今日はカチッとしたジャケットを着こなし、この前とは全然ちがういでたちだった。「午前中は、裁判があったので」という大雅さん。 襟にはあのバッジもあるし、やはり本当に弁護士なのだ……。



松本美枝子