未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
70

ギャラリストは弁護士先生。

ギャラリー サロンコジカ

文= 松本美枝子
写真= 松本美枝子
未知の細道 No.70 |10 July 2016
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#2いざ、札幌へ

1ヶ月後、私は早速、札幌の街に降り立っていた。札幌では来年、第二回目となるアートプロジェクト、「札幌国際芸術祭2017」が開催される。
街なかにもちらほらチラシなどがあり、街をあげての芸術祭ムードになりつつある、そんな感じが伝わってきた。

街の中心から少し離れた北24条駅、そのほど近くに、目指す「サロンコジカ」はあった。 白い外壁のすっきりした洒落た建物だ。扉をそうっと押すと、入り口には小さなカフェがあって、スラリとした男の人がお店を切り盛りしている。 名前を告げると、少しお待ちくださいね、と言われて、私ははじめてサロンコジカを見渡した。 うわ、おしゃれな空間だなあ……、とまず私は思った。カフェの奥の左側にはホワイトキューブ(白を基調としたギャラリー空間のこと)があり、カラフルな平面と立体が、テンポよくきっちりと展示されている。 うん、これはなかなか良い展示だ、と私はすぐに思った。廊下を挟んで右手には白いドアがあり、ドアの向こうになんのスペースがあるのか、見ただけではちょっとわからない。

すると、扉の奥から大雅さんが、いらっしゃい! と現れたのであった。右手のドアの向こうはなんと大雅さんと、もう一人の弁護士による共同運営の弁護士事務所「札幌北商標法律事務所」だったのだ。2度目の対面である大雅さんは、今日はカチッとしたジャケットを着こなし、この前とは全然ちがういでたちだった。「午前中は、裁判があったので」という大雅さん。 襟にはあのバッジもあるし、やはり本当に弁護士なのだ……。

  • カフェを過ぎると左手にギャラリー、右手には弁護士事務所がある。
  • ギャラリーへと迎え入れてくれた大雅さん。
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未知の細道 No.70

松本美枝子

1974年茨城県生まれ。生と死、日常をテーマに写真と文章による作品を発表。
主な受賞に第15回「写真ひとつぼ展」入選、第6回「新風舎・平間至写真賞大賞」受賞。
主な展覧会に、2006年「クリテリオム68 松本美枝子」(水戸芸術館)、2009年「手で創る 森英恵と若いアーティストたち」(表参道ハナヱ・モリビル)、2010年「ヨコハマフォトフェスティバル」(横浜赤レンガ倉庫)、2013年「影像2013」(世田谷美術館市民ギャラリー)、2014年中房総国際芸術祭「いちはら×アートミックス」(千葉県)、「原点を、永遠に。」(東京都写真美術館)など。
最新刊に鳥取藝住祭2014公式写真集『船と船の間を歩く』(鳥取県)、その他主な書籍に写真詩集『生きる』(共著・谷川俊太郎、ナナロク社)、写真集『生あたたかい言葉で』(新風舎)がある。
パブリックコレクション:清里フォトアートミュージアム
作家ウェブサイト:www.miekomatsumoto.com

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。