未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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この町に、またアート・プロジェクトがやってきた!

鯨ヶ丘商店街と「KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭」

文= 松本美枝子
写真= 松本美枝子
未知の細道 No.78 |10 Ncvember 2016
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#8茨城県北の地で現代アートを見よう

 この日作られた「常陸佐竹市の歌」は、来る11/12(土)に行われる「常陸佐竹市祭」で若宮八幡宮という神社に奉納されるのだという。この祭りでは、常陸佐竹市の市民活動とその歴史を祈願し、梅津会館から若宮八幡宮までを神輿でパレード、そのあと歌やパフォーマンス、制作物など、常陸佐竹市民それぞれが得意なものを奉納する、ということだ。
 歌を作り終わった後、祭りのための軽い打ち合わせをして、この日が第5回目となる「市民会議」はお開きとなった。
 この祭、一体どんなものになるのか想像もつかないが、なんだか面白いことになりそうだ。ぜひ鯨ヶ丘商店街エリアに行って、深澤仮市長と「市民」たちによる、この小さなお祭りを体験してほしいと思う。
 そして茨城県北芸術祭の最終日である11月20日には、いよいよ「常陸佐竹市長候補者の立会演説及び市長選」を行うのだという。もしかしたらその日「常陸佐竹市」では、深澤さんではない新たな「常陸佐竹市長」が誕生しているのかもしれないのだ。茨城県北芸術祭が終わった後、この「常陸佐竹市」と鯨ヶ丘商店街がどうなっていくのか……、とても楽しみである。

 さて「KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭」は11月20日まで開催している。常陸太田市の鯨ヶ丘商店街エリアでは深澤さん、原さん、北澤さんの作品以外にも、2組のアーティストの作品が展開されている。さらに鯨ヶ丘以外の常陸太田市内を含む茨城県北部の6市町で、85組の国内外のアーティストによる作品が展開されている。この芸術祭は開催規模が世界最大級の広さであることもひときわ注目されており、茨城の豊かな海から、これから紅葉が深まる山までを背景にして、現代アートを楽しむことができるのだ。この秋、ぜひ常陸太田市、そして「KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭」に出かけてみてはいかがだろうか。

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未知の細道 No.78

松本美枝子

1974年茨城県生まれ。生と死、日常をテーマに写真と文章による作品を発表。
主な受賞に第15回「写真ひとつぼ展」入選、第6回「新風舎・平間至写真賞大賞」受賞。
主な展覧会に、2006年「クリテリオム68 松本美枝子」(水戸芸術館)、2009年「手で創る 森英恵と若いアーティストたち」(表参道ハナヱ・モリビル)、2010年「ヨコハマフォトフェスティバル」(横浜赤レンガ倉庫)、2013年「影像2013」(世田谷美術館市民ギャラリー)、2014年中房総国際芸術祭「いちはら×アートミックス」(千葉県)、「原点を、永遠に。」(東京都写真美術館)など。
最新刊に鳥取藝住祭2014公式写真集『船と船の間を歩く』(鳥取県)、その他主な書籍に写真詩集『生きる』(共著・谷川俊太郎、ナナロク社)、写真集『生あたたかい言葉で』(新風舎)がある。
パブリックコレクション:清里フォトアートミュージアム
作家ウェブサイト:www.miekomatsumoto.com

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。