未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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思い出から生まれる「未来」のカケラ

諏訪の「リビルディング・センター」はただの古材屋ではありません!

文= 川内有緒
写真= 川内有緒
一部写真提供= ReBuilding Center JAPAN
未知の細道 No.87 |25 March 2017
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#11夢は日本全国の古材がレスキューされること

 いまや、「自分もリビセンをやりたい!」という人が一ヶ月に何人もやってくる。一方のアズノさんたちも、この先はリビセンのモデルをフランチャイズ化して、全国に広げたられたら、という大きな構想も描いている。現状では、この上諏訪のリビセンがレスキューできる古材や古道具は、量が限られている。もしリビセンが全国に広がれば、古材はもっともっと身近になるし、ゴミは減ることだろう。

 ただ、他の地域でリビセンをやりたいという人には、もうすこし待っていて欲しいと頼んでいる。

「まだ、始まったばっかりだから、私たちの中に誰かに伝えられるものがないんです。一体どこさえ押さえれば“リビセン”が成立するのか、“リビセン”が“リビセン”たる所以は何か、ということを私たちが考えていきたい」とカナコさんは言う。

 確かに、リビセンという彼らの挑戦はまだ始まったばかりなのだ。それでも、決して「いつかできたら」とのんびりと構えているわけでもなさそうだ。

「リビセンも二、三年後にはできたらいいなあと思ってたら、あっという間にできちゃった。だから、もう来年にはフランチャイズはあるのかも!」
 そうカナコさんが言うと、「そうだね!」とアズノさんは笑った。

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未知の細道 No.87

川内 有緒

日本大学芸術学部卒、ジョージタウン大学にて修士号を取得。
コンサルティング会社やシンクタンクに勤務し、中南米社会の研究にいそしむ。その合間に南米やアジアの少数民族や辺境の地への旅の記録を、雑誌や機内誌に発表。2004年からフランス・パリの国際機関に5年半勤務したあと、フリーランスに。現在は東京を拠点に、おもしろいモノや人を探して旅を続ける。書籍、コラムやルポを書くかたわら、イベントの企画やアートスペース「山小屋」も運営。著書に、パリで働く日本人の人生を追ったノンフィクション、『パリでメシを食う。』『バウルを探して〜地球の片隅に伝わる秘密の歌〜』(幻冬舎)がある。「空をゆく巨人」で第16回開高健ノンフィクション賞受賞。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
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様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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