
要請があるたびにリビセンは、トラックに乗りこんで、古材や思い出の品々を“レスキュー”に出かけていく。女性のスタッフ一人(古材部の部長)だけで行くことも多いそうだ。解体屋さんに迷惑がかからないように、解体屋さんが入る前に“レスキュー”を終えるのが原則。構造体はいじらずに、建具や使える家具、道具などレスキューできそうなものを持って帰る。
最近では、ある雑貨店の店主の実家が解体されることになったとの連絡が入り、かなり遠かったが、思い切ってレスキューに出かけた。その実家には、家族の思い出たたくさん詰まっていたので、たいそう喜ばれた。そこでレスキューされた古材は、今度は、その依頼主の転居先でオープンする雑貨店の棚に生まれ変わることになった。
「大切なうちに使われていたものを少しでも残して、今の空間に生かすという活動には大きなやりがいを感じています」とアズノさんはことさら嬉しそうだった。
そう言う通り、リビセンの古材にはきちんと、その木材の「来歴」も書いてあったりもする。それは、こんな感じだ。
リビセン施行中のお助けたいとして大活躍していただいた諏訪地域にお住いの高太郎さんの大おじさんの板倉の材です
要請があれば、彼らは食材のレスキューだってする。
「台風で落ちちゃったリンゴを買い取って販売したり、リンゴのジュースにして出したり。お母さんが来て、リンゴを買ってくれたり、子どもたちが喜んでかじっていったり」
こうして、今日も捨てられるはずだったものがグルリと循環し、誰かの生活をまた少しシアワセにする。

川内 有緒