
茨城県小美玉市
マンゴー、それは甘くて美しい、南国の果物。日本では、沖縄や宮崎などの南の産地を思い浮かべる人も多いだろう。フルーツの女王とも言われる熱帯果樹のマンゴーを、なんと北関東の茨城で栽培している園芸農家があるという。しかも糖度は平均18度と日本でもトップクラスを誇る品質なのだ。茨城で採れる、園芸農家の手によるマンゴー、その美味しさの秘密を確かめに小美玉市へと向かった。
最寄りのICから【E6】常磐自動車道「岩間」を下車
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何気なくフェイスブックを眺めていたある夏の日の午後。一つの投稿が目に留まった。それはウチの近所のとてもおいしいフランス料理店「レストラン ル・ポワロン」のマダム、弘江さんが書いたものだった。
旦那さんでシェフの野澤さんが作るデザートのマンゴーを買い付けに、茨城県小美玉市にある農園に行った、という内容だった。そしてここのマンゴーは、とびきり甘くて上等で美味しいのだ、と。そんなことが、マンゴーがハウス栽培されているらしき写真とともに書いてあった。
はて、小美玉市? 茨城県? 沖縄や九州ならともかくも、北関東で熱帯果樹のマンゴーを生産できるの? まず、そんなハテナマークが頭の中を飛び交う。
それに実は私は、マンゴーには目がないのだ。美味しいマンゴーなら、南でも北でも茨城でも、とにかく食べてみたいじゃないか!
早速「ル・ポワロン」にマンゴーのデザートを食べに行ってみることにした。マダムがサーブしてくれた一皿には、美しくカットされた、生のマンゴーがたっぷりと盛られている。このマンゴーは特有のクセがなく爽やかで、それでいてとても甘い。これは美味しい!
スプーンを進めると、マンゴーの下の甘いココナッツのブランマンジェ、そして周りにあるパッションフルーツの酸味がアクセントとなって、マンゴーの美味しさをより引き立てている。オレンジと白の色の対比も美しく、そして何より美味しいデザートだった。
シェフは「ここのマンゴーは甘さと香りが強くて、美味しさが凝縮されているというか、なんといったらいいのかなぁ……、そう、食感に密度があるんです。宮崎や外国などいろんな産地のマンゴーを取り寄せてきましたが、本場の産地と比べても引けを取りません」と教えてくれた。
この農園に行ってみたいなあ……と思っている私を察して、マダムが笑顔でこう後押ししてくれた。「美枝子さん、マンゴーを作っている保田さんの農園、見学できますよ。マンゴーのハウス栽培の様子をぜひ行って見てきたら!?」と。
こうして私は、このマンゴーを栽培しているという「やすだ園」に行くことになったのである。

松本美枝子