
「朝市」の通りを歩く
さて埼玉県にある三郷ICを起点に常磐自動車道を北上しながら、13のICを降りてさまざまな音の風景を見てきたのだが、常磐自動車道は鳥の海スマートICの次の亘理ICが終着である。ここからは仙台東部道路、仙台南部道路を抜けて仙台宮城ICで降りる。この旅の最終目的地は、仙台なのだ。
仙台は私が好きな街の一つだ。人がたくさんいて、素敵な美術館や歴史的な建物があって、美味しいものが食べられて、それから友達もたくさん住んでいる。私が住む水戸の町からでも、仙台は決して遠い街ではなかった。常磐線や常磐自動車道でいつでも出かけられる街だ。ところが東日本大震災のあと、しばらくは水戸からでは電車でも車でも大きく迂回せねばならなくなり、仙台は私にとって少し遠い街になってしまっていた。2年前に常磐自動車道が開通してからは、また行きやすくなってホッとしていたところだったのだ。
久しぶりの仙台は、アーケードのある商店街や並木が続く大通りを歩くだけでも楽しい。都会の真ん中に大きな並木があるのは、仙台ならではの風景であり、それだけでもなんとなくワクワクする。働く人も観光客らしき人たちもたくさんいて、震災後の復興の拠点として、仙台はとても活気があるという印象だ。
駅の近くの有名な「朝市」の通りにも行ってみた。朝市とはいうけれど夕方までやっている、仙台の台所のような場所であり、街の人から観光客まで、いつもたくさんの人で賑わっている。私も何回か行ったことがあるけれど、震災後には訪れていなかったので、久しぶりに通ってみることにした。
久々の朝市は以前に来た時と変わらず、人が溢れてお店の人たちの元気な声が響いていた。こんな市場が駅のすぐそばにあるなんて、と毎度びっくりしてしまうのだが、ピカピカの鮮魚や生牡蠣、野菜や果物が、道路にはみ出さんばかりに並んでいる。スーパーではあまり見かけないアケビや珍しい野菜などもある。たくさんあって目移りしてしまう。何かお土産に買っていこうかしら、と思わずにはいられないのだ。
ああ、こうしてまた気軽に仙台に来よう、と私は思った。

松本美枝子