未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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秋田犬“ワン”ダーランドにようこそ!

忠犬ハチ公の故郷・大館はモフモフ天国

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.101 |10 November 2017
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#4海外で初めて秋田犬を飼ったのは、あの人

富澤さん(左)と西山さん(右)。ふれあい処の営業日・営業時間は要確認。

 ふたりから聞いて驚いたのは、「秋田犬検定」なるものがあるということ。「大館や秋田犬を知らない人にはなかなか答えられない」という問題が出され、合格すると有料ながら認定証、ステッカー、ガイドブックがもらえるという。面白い取り組みだなと思いながらそのガイドブックのページをめくっていると、思わずええ!? と声を出してしまう情報が。

 秋田犬が初めて海外に渡ったのは1937年で、飼い主はなんと視覚と聴覚に障がいを抱えながら大学を卒業し、さまざまな社会活動にも影響を与えたヘレン・ケラー! ヘレン・ケラーも忠犬ハチ公のエピソードに感銘を受けたひとりで、1937年に来日した際に秋田犬を贈られて、アメリカに連れ帰ったそう。いやー、秋田犬は奥が深い。

 このガイドブックにはさらにもうひとつ、ビックリする情報があった。大館生まれの秋田犬を紹介するページに「イスラエル出身 エンジェルさんの愛犬」という見出しが目に入り、気になって読んでみるとエンジェル・イタイさんという人が「秋田犬に惚れこんでイスラエルから移住してきた」と書かれていたのだ。富澤さんと西山さんに「こんな人がいるんですか!?」と尋ねると、大館では有名人のようで「ああ、エンジェルさんね」と知り合いの様子。

 わざわざ大館に移住してくるとは、並みの秋田犬ラヴァ―ではない。話が聞きたい! ふたりに「エンジェルさんって、アポなしで会えますかね?」と聞いたら、秋田犬会館の人が紹介してくれるかもしれないと言われて、思わずガッツポーズしてしまった。次の取材先が、秋田犬会館だったから。

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未知の細道 No.101

川内イオ

1979年生まれ、千葉県出身。広告代理店勤務を経て2003年よりフリーライターに。
スポーツノンフィクション誌の企画で2006年1月より5ヵ月間、豪州、中南米、欧州の9カ国を周り、世界のサッカーシーンをレポート。
ドイツW杯取材を経て、2006年9月にバルセロナに移住した。移住後はスペインサッカーを中心に取材し各種媒体に寄稿。
2010年夏に完全帰国し、デジタルサッカー誌編集部、ビジネス誌編集部を経て、現在フリーランスのエディター&ライターとして、スポーツ、旅、ビジネスの分野で幅広く活動中。
著書に『サッカー馬鹿、海を渡る~リーガエスパニョーラで働く日本人』(水曜社)。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
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