ふたりから聞いて驚いたのは、「秋田犬検定」なるものがあるということ。「大館や秋田犬を知らない人にはなかなか答えられない」という問題が出され、合格すると有料ながら認定証、ステッカー、ガイドブックがもらえるという。面白い取り組みだなと思いながらそのガイドブックのページをめくっていると、思わずええ!? と声を出してしまう情報が。
秋田犬が初めて海外に渡ったのは1937年で、飼い主はなんと視覚と聴覚に障がいを抱えながら大学を卒業し、さまざまな社会活動にも影響を与えたヘレン・ケラー! ヘレン・ケラーも忠犬ハチ公のエピソードに感銘を受けたひとりで、1937年に来日した際に秋田犬を贈られて、アメリカに連れ帰ったそう。いやー、秋田犬は奥が深い。
このガイドブックにはさらにもうひとつ、ビックリする情報があった。大館生まれの秋田犬を紹介するページに「イスラエル出身 エンジェルさんの愛犬」という見出しが目に入り、気になって読んでみるとエンジェル・イタイさんという人が「秋田犬に惚れこんでイスラエルから移住してきた」と書かれていたのだ。富澤さんと西山さんに「こんな人がいるんですか!?」と尋ねると、大館では有名人のようで「ああ、エンジェルさんね」と知り合いの様子。
わざわざ大館に移住してくるとは、並みの秋田犬ラヴァ―ではない。話が聞きたい! ふたりに「エンジェルさんって、アポなしで会えますかね?」と聞いたら、秋田犬会館の人が紹介してくれるかもしれないと言われて、思わずガッツポーズしてしまった。次の取材先が、秋田犬会館だったから。

川内イオ