未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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秋田犬“ワン”ダーランドにようこそ!

忠犬ハチ公の故郷・大館はモフモフ天国

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.101 |10 November 2017
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#6「私は犬の王様だと思いますね」

3階の展示室で秋田犬の解説をしてくれた秋田犬保存会の副会長、富樫安民さん。

 秋田犬保存会は国内に51カ所、海外に13カ所あり、その人気ぶりがわかる。「今は秋田犬のブームだね」と語る富樫さんに、秋田犬の魅力を尋ねると、なんとも嬉しそうな笑顔で教えてくれた。

「秋田犬は大きいのに、落ち着いていて威圧感を与えないんですよね。でも、もともと闘犬だったから、闘争心はあるし、力も強い。それに、主人が倒れた時に助けを呼びに行ったり、その場でじっと立ち続けて助けがくるのを待っていたという話を会員から聞くんですよ。私は犬の王様だと思いますね」

展示室にあるヘレンケラーと秋田犬の写真

 富樫さんによると、保存会の目下の課題は飼い主の高齢化。秋田犬は大型犬でしっかりとした運動が必要なので皮膚や夫婦のどちらかが倒れると、もう面倒をみきれないから手放したいという高齢者からの相談が増えているそうだ。

 なんとか若い人にも秋田犬の良さを知ってもらいたいということで、市と保存会が手を組んであれこれと策を練っているなかで、大きな期待を集めているのが、例のイスラエル人、エンジェルさんだった。

 富樫さんから話を聞いている最中、受付の方からエンジェルさんの取材OKという伝言をもらっていたので、取材後、すぐに秋田犬会館から徒歩1、2分の所に住むエンジェルさんの自宅に向かった。

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未知の細道 No.101

川内イオ

1979年生まれ、千葉県出身。広告代理店勤務を経て2003年よりフリーライターに。
スポーツノンフィクション誌の企画で2006年1月より5ヵ月間、豪州、中南米、欧州の9カ国を周り、世界のサッカーシーンをレポート。
ドイツW杯取材を経て、2006年9月にバルセロナに移住した。移住後はスペインサッカーを中心に取材し各種媒体に寄稿。
2010年夏に完全帰国し、デジタルサッカー誌編集部、ビジネス誌編集部を経て、現在フリーランスのエディター&ライターとして、スポーツ、旅、ビジネスの分野で幅広く活動中。
著書に『サッカー馬鹿、海を渡る~リーガエスパニョーラで働く日本人』(水曜社)。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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