秋田犬保存会は国内に51カ所、海外に13カ所あり、その人気ぶりがわかる。「今は秋田犬のブームだね」と語る富樫さんに、秋田犬の魅力を尋ねると、なんとも嬉しそうな笑顔で教えてくれた。
「秋田犬は大きいのに、落ち着いていて威圧感を与えないんですよね。でも、もともと闘犬だったから、闘争心はあるし、力も強い。それに、主人が倒れた時に助けを呼びに行ったり、その場でじっと立ち続けて助けがくるのを待っていたという話を会員から聞くんですよ。私は犬の王様だと思いますね」
富樫さんによると、保存会の目下の課題は飼い主の高齢化。秋田犬は大型犬でしっかりとした運動が必要なので皮膚や夫婦のどちらかが倒れると、もう面倒をみきれないから手放したいという高齢者からの相談が増えているそうだ。
なんとか若い人にも秋田犬の良さを知ってもらいたいということで、市と保存会が手を組んであれこれと策を練っているなかで、大きな期待を集めているのが、例のイスラエル人、エンジェルさんだった。
富樫さんから話を聞いている最中、受付の方からエンジェルさんの取材OKという伝言をもらっていたので、取材後、すぐに秋田犬会館から徒歩1、2分の所に住むエンジェルさんの自宅に向かった。

川内イオ