
茨城県守谷市
世界中から若手アーティストを招聘し、制作環境の支援と育成を図ってきた「アーカスプロジェクト」。今では国際的な舞台へアーティストを輩出する登竜門として世界の美術関係者に知られている。「もりや学びの里」にあるアーカススタジオでの、アーティストと地域の人々たちの出会いの場を取材した。
最寄りのICから【E6】常磐自動車道「谷和原IC」を下車
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「アーカスプロジェクト(以下アーカス)」をご存知だろうか? 茨城県と守谷市が中心となって開催している現代美術に特化したアーティスト・イン・レジデンスプログラムだ。これまで33カ国の国と地域から103名ものアーティストを招聘し、制作に専念する時間と環境を提供してきた。活動拠点は守谷市にある「もりや学びの里」内のアーカススタジオ。ここで24年もの間、アーティストの支援と育成を続けてきたこのプロジェクトは、いわば日本のアーティスト・イン・レジデンスプログラムの草分け的存在である。そして今では、アーティストの登竜門として世界の美術関係者に知られている。
アーカスプロジェクトでは、毎年3名のアーティストが110日間ほどの滞在制作を行う。このプロジェクトの面白さはなんといっても、滞在制作の総括として展覧会を行うのではなく、アーティスト・イン・レジデンスの活動の経過や成果を「オープンスタジオ」として一般に公開することにある。さらに彼らを専門的な観点から支援するため、外部のキュレーターをゲストとして招いている。2018年度はジハド・ジャネル(トルコ)、エリカ・セルジ(アメリカ)、イリカ・ファン・ローン(オランダ)の3人のアーティストが招聘され、そしてゲストキュレーターには金澤韻さん(十和田市現代美術館学芸統括)が携わった。
5日間のオープンスタジオ期間中は、アーティストやゲストキュレーターによる解説付きのスタジオ見学ツアーや講演、パフォーマンスなどが行われるのだが、そのなかでも土曜日にはアーティストたちによる「キッズツアー」が行われるという。近隣の小学生や中学生が多く見学に来るらしい。地域の人たちにとってどんなふうにアーカスが開かれているのか、見られるチャンスでもある。せっかくなので私もこのキッズツアーに同行させてもらうことにした。
私がアーカススタジオに着いた時には、受付にはお父さんお母さんに連れられた、小学生たちが少しずつ集まり始めていた。

松本美枝子