未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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“天空のサバンナ”でソンと叫ぶ!

熱狂のゾウ使い1日体験記!

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.65 |20 April 2016
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#10バンドマン副支配人の夢

16時に仕事を終えて、ゾウ舎に帰るブンミーとカンピアン

 中鉢さんには夢がある。
 いつか、2頭のゾウを「ゾウの村」から出して、広々とした岩手サファリパークの敷地内を、ゾウ使いとともに歩かせてあげること。そうすれば、ゾウが喜ぶだけじゃなく、今よりもいきいきとしたゾウの姿を子どもたちに見せてあげることができるからだ。
 実現するためには難しい交渉が必要になるけど、国内のほかの施設の状況を見れば不可能な話ではないという。
 想像してほしい。
 大きなゾウが、気持ち良さそうに草原を歩いている姿を。そのゾウにまたがったゾウ使いが、水牛の角をくりぬいて作った笛「サナイ」を優雅に吹いている様子を。そして、子どもたちがゾウを取り巻き、意外なほどに固い肌やチクチクする毛、ゴムのような手触りの鼻を触わってはしゃいる景色を。
 僕はバンドマン副支配人の夢が叶ったら、必ずここに戻ってこようと心に決めた。

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未知の細道 No.64

川内イオ

1979年生まれ、千葉県出身。広告代理店勤務を経て2003年よりフリーライターに。
スポーツノンフィクション誌の企画で2006年1月より5ヵ月間、豪州、中南米、欧州の9カ国を周り、世界のサッカーシーンをレポート。
ドイツW杯取材を経て、2006年9月にバルセロナに移住した。移住後はスペインサッカーを中心に取材し各種媒体に寄稿。
2010年夏に完全帰国し、デジタルサッカー誌編集部、ビジネス誌編集部を経て、現在フリーランスのエディター&ライターとして、スポーツ、旅、ビジネスの分野で幅広く活動中。
著書に『サッカー馬鹿、海を渡る~リーガエスパニョーラで働く日本人』(水曜社)。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。