
筋トレの後、力士会から寄贈された土俵に移動した。冬の間はシートをかけて大切に管理されているが、暖かい季節になると、山田町唯一のこの土俵が二人の練習場所になる。もし力士会が土俵を再建しなければ、練習場所を失った二人は相撲を続けられなかっただろう。言い換えれば、力士会が途絶えかけた山田町の相撲の絆を守ったのだ。
土俵の上で撮影をしていると、二人は自然と組み合い始めた。見た目は全く似ていないが、いかにも楽しそうに押し合う姿は、優しい兄と無邪気な弟の兄弟そのものだ。
白鵬との対戦、そして横綱を目指して、二人三脚で「はっきよい、残った!」。


川内イオ