未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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ギャラリストは弁護士先生。

ギャラリー サロンコジカ

文= 松本美枝子
写真= 松本美枝子
未知の細道 No.70 |25 May 2016
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#8カフェはお客さんの窓口

さて建物の入り口の小さなカフェに戻ってみることにした。
ここを切り盛りしているのはバリスタでもある佐々木恒平さんだ。移転前のサロンコジカの時からカフェを任されている。
移転してからは「COJICA COFFEE」のオーナーとして独立した。

実は恒平さんも大雅さんに負けず劣らず、ぶっ飛んだ二足のわらじの人である。本業は音楽家で、テレビやウェブの広告音楽を作曲している。
音楽家だけでも十分に食べていけるのに、コーヒー好きが高じて、独学で勉強し、昼間はここでバリスタをしているのだという。
コーヒーは厳選したスペシャルティコーヒーなどを中心に、恒平さんの手作りのお菓子やサンドイッチも食べることができる。どれもこれも独学とは思えない、目に美しく、味ももちろんおいしいメニューばかりだ。
だからサロンコジカにはアートだけではなく、「COJICA COFFEE」を目当てにやってくるお客さんも多いのだとか。

恒平さんは常に心がけていることが一つある。それは一杯のコーヒーを出すまでに、なるべくお客さんと会話し、必ず展示中の展覧会を説明すること。作曲の仕事は一人でコツコツとやるものだけれど、カフェではお客さんと会話することが、自分にとって楽しい作業だから、と恒平さんはいう。
小さなスペースにもかかわらず、この日もふらっとコーヒーを飲みに来るお客さんが、入れ替わり立ち代りやってきていた。
うーん、私の街にもこんな素敵なギャラリーがあって、さらにそこでおいしいコーヒーが飲めるとしたら、私もしょっちゅう来てしまうだろうな。

「サロンコジカでは誰よりも僕が一番長く、お客さんと接していますからね。展示もきっと僕が一番長い時間をかけて見ているし」と恒平さんは言う。恒平さんは、このサロンコジカの窓口なのだ。

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未知の細道 No.70

松本美枝子

1974年茨城県生まれ。生と死、日常をテーマに写真と文章による作品を発表。
主な受賞に第15回「写真ひとつぼ展」入選、第6回「新風舎・平間至写真賞大賞」受賞。
主な展覧会に、2006年「クリテリオム68 松本美枝子」(水戸芸術館)、2009年「手で創る 森英恵と若いアーティストたち」(表参道ハナヱ・モリビル)、2010年「ヨコハマフォトフェスティバル」(横浜赤レンガ倉庫)、2013年「影像2013」(世田谷美術館市民ギャラリー)、2014年中房総国際芸術祭「いちはら×アートミックス」(千葉県)、「原点を、永遠に。」(東京都写真美術館)など。
最新刊に鳥取藝住祭2014公式写真集『船と船の間を歩く』(鳥取県)、その他主な書籍に写真詩集『生きる』(共著・谷川俊太郎、ナナロク社)、写真集『生あたたかい言葉で』(新風舎)がある。
パブリックコレクション:清里フォトアートミュージアム
作家ウェブサイト:www.miekomatsumoto.com

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。