
さて梅津会館に戻ると、サポーターさん(県北芸術祭の運営ボランティアたちのこと)が、一枚のチラシを渡してくれた。なんだろう?
「今日は常陸太田市の集中曝涼(ばくりょう)なんですよ。この周辺のお寺などで文化財を公開していますから、芸術祭と兼ねてぜひご覧ください」と教えてくれた。「曝涼」とは、天気のよい乾燥した日を選んで書籍や衣類などを日にさらし風を通して、かびや虫を防ぐ、いわゆる虫干しのことだ。
現在は茨城県北芸術祭が行われ、最先端の現代アートで賑わっている常陸太田市だが、一方で城下町としての歴史が古いこの市には、正宗寺(しょうじゅうじ)の雪村筆の滝見観音図をはじめ、国指定や県指定などの文化財が数多くある。市では、年に一度、10月の第3土・日を「市内指定文化財集中曝涼の日」とし、市内各地に保存されている仏像、書物、絵画などの貴重な文化財を一般公開しているのだ。市内全域で行うこの曝涼には、毎年多くの人が訪れ、貴重な文化財を間近で見学することができる。各公開場所では地域の人々がガイドも行っているという。
この日は鯨ヶ丘を含む常陸太田市内で、現代美術と古美術の両方が見られるという貴重な一日だったわけだ。私はこの後行われる「常陸佐竹市」のイベントに参加するため、残念ながら見に行くことができなかったのだが、また来年、改めて常陸太田市の集中曝涼を見に行きたい! と思ったのであった。



松本美枝子