
長野県諏訪市
解体される空き家から古材や建具、古道具を“レスキュー”している人々がいる。レスキューされた思い出の品々は、新たなものに生まれ変わる日を静かに待っている。解体屋も家主も古材ファンも幸せになれる仕組み!と熱い視線が注がれる新名所を訪ねると、そこはただの古材屋ではなかった!
最寄りのICから長野自動車道「岡谷IC」を下車
最寄りのICから長野自動車道「岡谷IC」を下車

新宿から特急あずさ松本行きに揺られること二時間半。
上諏訪駅に着くなり、おっ! と思った。プラットフォームには、どおんと足湯エリアがあり、若い女性が気持ちよさそうに足を温めながら電車を待っていた。
駅に足湯!? と思いながら、改札の向こうを見ると、遠くには雪を抱いた山々が見え、頬に感じる空気がキリッとして澄んでいた。
いいねえ、なんだか、遠くまで来たぞと思った。
駅から歩いて10分の場所に目指す「ReBuilding Center JAPAN」はあった。
ちらっと覗くと、ある、ある、古材の数々!
いろんな長さ、いろんな厚み、床材、ぶっとい柱、よく分からない板の切れ端も。どれもこれも時を経ていい味が出ているじゃないですか!
ぶわっとアドレナリンが体を駆け巡った。
そう、「リビルディング・センター」(愛称はリビセン)は、ま、簡単に言っちゃえば「古材屋さん」である。でも、ただの「古材屋さん」ともちょっと違う。
ここは、去年の9月にオープンしたばかりだというのに、すでに一部の人間にとっては、憧れの聖地だ。そんな一部の人間とは、「古いものを愛してやまない!」、「趣味はDIY」という人種のことである。ふふ、実は私自身、大人になって自分のおカネで初めて買った家具はアンティーク(とは名ばかりの古道具)。今でも家の家具の半分はアンティーク(とは名ばかりの古道具)、またはDIYで自作したもの、というヒトなのだ。
古い木枠の窓がコラージュされたエントランスを入ると、広いカフェがあった。
古材がビシッと貼られたカウンターが大変に美しく、しばしうっとりと愛でる。そう、リビセンは、古材屋さんでありながら、居心地の良いカフェでもある。それはまた、完璧な組み合わせなのである。

川内 有緒