
二人はもともとmedicala(メヂカラ)という名の空間デザインユニットとして、日本全国の店舗やカフェ、ゲストハウスなどの設計を行ってきた。medicalaの特徴の一つは、旅人のようなワーク・スタイルである。
地方から依頼があれば、生活道具や工具も一切合切を車に詰め込み、何ヶ月かその土地で暮らしながら、施主と一緒に空間を作る。その間は、現場に寝泊まりすることもしばしば。そして、完成したらまた別の現場に引っ越していく。
「現場に泊まり込むって、面白い働きかたですよね」
と私が感心しながらいうと、アズノさんは、ごく自然体でこう答えた。
「呼ばれたらどこでも行こうと思ってやっているうちに、いろんなところに呼ばれるようになって。普通はデザインだけして、設計管理とかでちょこちょこ通うのが一般的な作り方だと思うんですけど、それよりは現場にがっつり入った方がいい空間が作れるし、そっちの方が楽しいよね」

川内 有緒