未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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ゲストハウスと公共温泉巡りのススメ

下諏訪で見つけたホカホカな旅

文= 川内有緒
写真= 川内有緒
未知の細道 No.88 |10 April 2017
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#6修行の場「旦過の湯」

 お次は、「旦過の湯」を目指すことにした。体がホカホカと温まり、散歩をするのが気持ちいい。途中で諏訪大社の秋宮に寄り、お参りをして、午後の日差しを浴びた。

 そこから再び歩くこと、5、6分ほどで「旦過の湯」に到着。キョンちゃんによれば、ここの温度はなんと47℃!

 ここは、4年前にリニューアルされたというだけあり、現代風の公共浴場である。珍しく露天風呂もあるらしい。

 それにしても、受付にいたおばちゃんたちが、びっくりするくらいフレンドリーなのだ。私が旅人と見てとるや、「最近は遠くから若い人もいっぱい来るよー、ネット見てくるんだねえ!」と嬉しそうに言い、「ここはねー、全部源泉かけ流し! お風呂にもカランにも塩素も水も一切入ってないのよ!」などと胸を張る。

 受付のおばちゃんによると、「旦過の湯」ができたのは700年前。その歴史は鎌倉時代にさかのぼる。当時ここら辺には、お寺の修行僧の寮があり、ここはその浴場だったそうだ。切り傷にもよく効いたとかで、江戸時代には、戦いで怪我をした武士にも人気があったそうだ。

「お湯が47℃あるんですよねー!」

 ちょっとワクワクしながら尋ねると、おばちゃんは、紙を見ながら、「ええと、今日は外があったかいから…..47.6℃!」とのことだった。

 さらに、「湯口は50℃以上あるわよ」との親切な追加情報も。

 うーむ、想像以上の未体験ゾーン験なのかもしれない。

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未知の細道 No.88

川内 有緒

日本大学芸術学部卒、ジョージタウン大学にて修士号を取得。
コンサルティング会社やシンクタンクに勤務し、中南米社会の研究にいそしむ。その合間に南米やアジアの少数民族や辺境の地への旅の記録を、雑誌や機内誌に発表。2004年からフランス・パリの国際機関に5年半勤務したあと、フリーランスに。現在は東京を拠点に、おもしろいモノや人を探して旅を続ける。書籍、コラムやルポを書くかたわら、イベントの企画やアートスペース「山小屋」も運営。著書に、パリで働く日本人の人生を追ったノンフィクション、『パリでメシを食う。』『バウルを探して〜地球の片隅に伝わる秘密の歌〜』(幻冬舎)がある。「空をゆく巨人」で第16回開高健ノンフィクション賞受賞。

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「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
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