未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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荒川とガンジス川は繋がっている!

インドの人々と巡る、東京インド旅。

文= ウィルソン麻菜
写真= ウィルソン麻菜
未知の細道 No.97 |25 August 2017
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#4インディアンファーストフードを初体験

日本で唯一の「インドのファーストフード店」。

 そんな話をしていたら、レストランがどんどん混んできた。土曜日ということもあって広い店内は満席だ。

「ちょっと移動しましょう。日本でひとつしかないお店があります」

 チャンドラニさんに促されてカルカッタを出た。少し歩くと、小さなレストランが見えてくる。チャンドラニさんが始めた、日本で唯一のインドの屋台料理の店「印ストリート」だ。本格的なインド料理だけでなく、インドの街中で売っているような軽い食事が食べられる。

インドでは基本的に、食事は手で食べる。

 チャンドラニさんの注文で目の前に出てきたのは、パラーターとパーパドという料理。 パーパドは粉状の豆を薄く伸ばして焼いたもので、スパイスがピリリと効いてパリパリとしている。チャンドラニさんの真似をして、右手で割りながら食べると、軽い煎餅のようで手が止まらない。もうひとつのパラータ―は、スパイスと野菜を混ぜたものをナンのような皮で包んで伸ばしたもの。自家製のヨーグルトにつけて食べると、口の中に、ヨーグルトの酸味とスパイスの香りがワッとひろがって、すっかりインド気分だ。

「日本にも、しっかりした和食以外の料理がたくさんあるじゃないですか。インドも同じ。だけどこういう料理を出すお店は今までなかったんですね」

 今度は隣の席に、インド人のご家族がきた。車関係の会社にエンジニアとして勤めているという旦那さんと、奥さんと子どもたちだ。チャンドラニさんがヒンディー語で話しかけている。 またしても、東京にいるのだということを忘れてしまいそうだ。

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未知の細道 No.97

ウィルソン麻菜

1990年東京都生まれ。学生時代に国際協力を専攻し、児童労働撤廃を掲げるNPO法人での啓発担当インターンとしてワークショップなどを担当。アメリカ留学、インド一人旅などを経験したのち就職。製造業の会社で、日本のものづくりにこだわりを持つ職人の姿勢に感動する。「買う人が、もっと作る人に思いを寄せる世の中にしたい」と考え、現在は野菜販売の仕事をしながら作り手にインタビューをして発信している。刺繍と着物、野菜、そしてインドが好き。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。