未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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荒川とガンジス川は繋がっている!

インドの人々と巡る、東京インド旅。

文= ウィルソン麻菜
写真= ウィルソン麻菜
未知の細道 No.97 |25 August 2017
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#6家族思いのインドの人々

笑顔のスーリャさんと、少し緊張気味の子どもたち

 次の行き先は、このあと出会ったインド人に聞いてみよう! そう決めてすぐに、駅前で親子とすれ違った。

 なんとも険しい顔で歩いている。ちょっとこわそうだ! しかし先ほど「次に出会った人に聞く!」と決めてしまったしなぁ。恐る恐る声をかける。一瞬怪訝な顔だったので日本語が伝わらないかと思ったら、かなり流暢な日本語と、すてきな笑顔が返ってきた。

 スーリャ・ゴーラさんと、その息子サーティヴィックくんとチャイタンヤくん。22年も日本に住むスーリャさんは、東京の他の地域や横浜などにも住んでみたが、子どものことを考えて西葛西に引っ越してきたそうだ。

「やっぱり教育のこともあるし、インド人のコミュニティを子どもたちに知ってほしかった」

 サーティヴィックくんは中学2年生、チャイタンヤくんは小学3年生。今後のことを考えると、日本から海外へ行くことも考えているそうだ。

「自分のことより、まずは子どもたちが一番優先ですね」

 最後に夢を聞いたら、優しい笑顔でこう答えてくれた。険しい顔は歩いているときだけみたいだ。

 スーリャさんに教えてもらったおすすめの場所は、葛西臨海公園。スーリャさん一家が住んでいる清新町という町には、インド人が多く暮らす団地がある。その清新町から葛西臨海公園までは、自転車で15分くらいの距離だ。

「葛西臨海公園は、本当にすばらしい。自然がたくさんで、家族ですぐに行かれるのがいいですね。今日も夕食のあとに、子どもたちと散歩に行くつもりです」

 実は、最初にお話を伺ったプラヴィーンさん、インド食材店のアロックさん共に、葛西臨海公園を推していた。そんなに葛西臨海公園はいいのか! その実態を探るべく、駅前からバスに乗り込んだ。

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未知の細道 No.97

ウィルソン麻菜

1990年東京都生まれ。学生時代に国際協力を専攻し、児童労働撤廃を掲げるNPO法人での啓発担当インターンとしてワークショップなどを担当。アメリカ留学、インド一人旅などを経験したのち就職。製造業の会社で、日本のものづくりにこだわりを持つ職人の姿勢に感動する。「買う人が、もっと作る人に思いを寄せる世の中にしたい」と考え、現在は野菜販売の仕事をしながら作り手にインタビューをして発信している。刺繍と着物、野菜、そしてインドが好き。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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