さて鈴木さんへのインタビューもひと段落ついた頃。この日は珍しく、15時からの上映だ。
今日の映画は『キングス・オブ・サマー』(2013年制作、アメリカ)。これが長編映画制作デビューだったジョーダン・ヴォード=ロバーツ監督による、ティーン・エイジャーの一夏の青春と成長の物語だ。
そして上映後には、この映画を配給した「グッチーズ・フリースクール」という団体の代表の降矢聡さんのトークがあるという。
まさにクラブ……! というカウンターでお兄さんに料金を支払い、ラムコークを注文する。ここは2千円で好きな1ドリンクがついて映画が見られるというシステムなのだ。アルコールが中心のメニューだ。それだけでもちょっとお得な感じがするが、この日のようにトークイベントがある時でも同じ料金なので、さらにお得な感じがある。
劇場内に入ると、大型スクリーンの周りには客席ではなく、赤いソファやスチールのテーブルと椅子。灰皿まである。なんとCINEMA VOICEではお酒を飲み、タバコを吸いながら映画が見られるのである。今時の禁煙ブームにはだいぶ逆行しているけれど……、これはこれで珍しくて面白い。
そして天井を見上げると、キラキラ輝く巨大なミラーボール……。やっぱり「CINEMA VOICE」は本当にクラブの「VOICE」なんだ、と私は思った。
さて映画が始まった。
あの名作『スタンド・バイ・ミー』を思わせるような、青春映画の正統を引き継ぐ展開ではじまるこの映画は、おきまりの喧嘩や思いがけない危険などハラハラする展開もありながら、現代っ子の軽やかさもあって、最後はクスッと笑えて、ハッピーな気分で終わる。
ユーモアがある映画が好きだし、それが一番大事だと語っていた鈴木さんが選んだ映画、という感じがした。良い映画だった。

松本美枝子