未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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知られざる「伊豆のお遍路」を訪ねて

快適爽快スイスイ巡礼

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.114 |25 May 2018
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#10「お遍路2.0」

疲労感ゼロでご機嫌の筆者。

 伊豆急下田駅のステーションで自転車を返却すると、すぐにメールで返却完了通知が送られてきた。通知によると、利用時間は1時間37分で、料金は910円、走行距離は9.8キロ。4つの札所を巡って約10キロを動き回ったけど、疲労感ゼロで観光地における電動自転車のポテンシャルの大きさを感じた。

 江戸時代の人たちと同じように徒歩で挑むのもいいだろう。でも、今回訪ねた4つの札所を徒歩で行くかと言われれば、僕の答えはノーだ。それぐらい、電動自転車は快適で、圧倒的に爽快だった。山道だってすいすい~と登れるはずだ。

 電動自転車なら、伊豆のお遍路400キロを走破できるかもしれない。今回は何も考えないままに4つの札所を巡ったけど、なにかしら目的をもって「結願」したい。そう思った僕は、遠藤さんに「電動自転車、伊豆半島全体に広げてください!」と頼み込んだ。

 遠藤さんは「そうですね!」と苦笑していたけど、もし実現したら伊豆のお遍路は電動自転車で走る白装束の巡礼者でいっぱいになるかもしれない。その人たちは、スマホでお寺の由来を知り、歴史に思いを馳せる。それはもう「お遍路2.0」だ。

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未知の細道 No.114

川内イオ

1979年生まれ、千葉県出身。広告代理店勤務を経て2003年よりフリーライターに。
スポーツノンフィクション誌の企画で2006年1月より5ヵ月間、豪州、中南米、欧州の9カ国を周り、世界のサッカーシーンをレポート。
ドイツW杯取材を経て、2006年9月にバルセロナに移住した。移住後はスペインサッカーを中心に取材し各種媒体に寄稿。
2010年夏に完全帰国し、デジタルサッカー誌編集部、ビジネス誌編集部を経て、現在フリーランスのエディター&ライターとして、スポーツ、旅、ビジネスの分野で幅広く活動中。
著書に『サッカー馬鹿、海を渡る~リーガエスパニョーラで働く日本人』(水曜社)。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。