未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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知られざる「伊豆のお遍路」を訪ねて

快適爽快スイスイ巡礼

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.114 |25 April 2018
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#9ユニークな歴史

 その後、了仙寺から伊豆急下田駅に向かう1.3キロの道中にある第43札番の大安寺、第41札番の海善寺に立ち寄った。どちらも観光客が立ち寄るような華やかな雰囲気ではないのだけど、歴史を知ると興味がわいてくる。

 例えば大安寺はアプリに【日向佐土原藩の船が、将軍家に献上するための御用材を積んで江戸に向かう途中で暴風雨に遭い、やむを得ず積荷の一部を捨てて下田港に入港しましたが、御用材を捨てた責任をとり16人が自害しました。 帰葬が許されなかったため、故郷の菩提寺と同名の大安寺に葬られることとなりました。 船に残されていた材木は、大安寺の本堂の柱として残っています。】とある。大安寺にはこの16人の墓が現存していて、こんな悲劇があったのかとしんみりしてしまう。

悲しい歴史を持つ大安寺。

 山門がとても立派な海善寺は、検索してみると「14代将軍徳川家茂公が京都に向う途中、嵐に遭いこの寺で年越しした」そうだ。徳川将軍が泊まったお寺だと思うと、感慨深い。

14代将軍徳川家茂公が投宿した海善寺。

 ちなみに、なぜ第42札番の長楽寺を飛ばしているのかというと「忘れたから」。長楽寺は了仙寺のすぐ近くにあるから、参拝する時間はいくらでもあったのだけど、ガイドブックで長楽寺を見落としたまま了仙寺から伊豆急下田駅に向かってしまったため、今回は参拝を見送った。また次回の楽しみにしよう。

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未知の細道 No.114

川内イオ

1979年生まれ、千葉県出身。広告代理店勤務を経て2003年よりフリーライターに。
スポーツノンフィクション誌の企画で2006年1月より5ヵ月間、豪州、中南米、欧州の9カ国を周り、世界のサッカーシーンをレポート。
ドイツW杯取材を経て、2006年9月にバルセロナに移住した。移住後はスペインサッカーを中心に取材し各種媒体に寄稿。
2010年夏に完全帰国し、デジタルサッカー誌編集部、ビジネス誌編集部を経て、現在フリーランスのエディター&ライターとして、スポーツ、旅、ビジネスの分野で幅広く活動中。
著書に『サッカー馬鹿、海を渡る~リーガエスパニョーラで働く日本人』(水曜社)。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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