天候に恵まれ、ジリジリとした陽ざしのなか、開校式が始まる頃には、子ども連れの家族を中心に大勢の人たちが水辺に集まっていた。僕の目測では、数百名はいたと思う。
市長や市会議員、国土交通省の関係者も参加する想像以上にキッチリとした開校式の後、いよいよ海開きならぬ川開き! 今か、今かとジリジリしていた子どもたちが、ワーッ! と歓声を上げて川に飛び込んだ。
安部川を正面に見て右側の「魚と泳ぐエリア」では、水中メガネをつけ、網やバケツを持った大勢の子どもたちが、水の中をのぞき込んでいる。魚を取ろうとしているのだ。
その様子を見て、嬉しそうに目を細めていたのが「うしづま水辺の楽校」を運営する地元のボランティア団体・世話人会の副代表、荻野さん。今回、取材に応じてくれた方だ。荻野さんは、世話人会が立ち上がった時からのメンバー。ということは10年目ですか? と聞くと、いやいや、と首を振った。
「もともと、安倍川フォーラムという会で10年間、同じような取り組みをしていました。その時は安部川を利用していたんだけど、川の状態で開催できる、できないが左右されるでしょ。だから、この場所を国交省に作っててもらいました。それで、2009年からうしづま水辺の楽校と名前を変えて10年目。安倍川フォーラムと合わせたらもう20年だ」

川内イオ