未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
126

日曜の朝、コーヒーと対話と哲学と。

カフェから始まる思索の旅

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.126 |26 November 2018
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#6朝モヤラバーたち

2時間の会が終わった後もお店に残ってカフェをする参加者たち。

 会が終わった後も8人がカフェに残っていた。そのうちの3人に感想を聞いてそれを確信した。

 「私はもう朝モヤに参加するのは107回目でね。もともと哲学が好きだし、このカフェも気に入ってるんだ。顔見知りができて楽しいよ」

 「私は通い始めて1年半ぐらい。なんで通っているのか、わからないんだけど(笑)、対話のない社会はいい社会じゃないと思っているんだ。だから自分のやれるところからやりたいという思いもあって来ています」

 「仕事が忙しくて2か月ぶりに参加しました。人と話すことがすごく好きなので、朝モヤ欠乏症でしたね(笑)。自分のなかで朝モヤはとてもウェイトが大きいんです。普段、出会わないような人たちの意見を聞くのはすごく楽しいですよ」

 なんと、3人とも朝モヤラバー。僕も近所に住んでいたら間違いなく通うだろう。それぐらい「脳みそに効く」感じがあるのだ。

 僕の場合、ただ話を聞くだけでなく、自分でも意見を述べたことが良い体験だった。知らない人たちの前で自分の意見を公にするのは慣れていない、怖いという人もいるだろう。僕も、もしかしたら的外れなことを言っているかもしれない、アホだと思われるかもしれない、批判されたらイヤだな……という後ろ向きの思考が頭のなかに渦巻いた。

 でも思い切って最初の一歩、最初の一口を踏み出すと、自分の言葉をほかの参加者が受け入れ、咀嚼してくれているのを感じる。それがなんとも嬉しい。

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未知の細道 No.126

川内イオ

1979年生まれ、千葉県出身。広告代理店勤務を経て2003年よりフリーライターに。
スポーツノンフィクション誌の企画で2006年1月より5ヵ月間、豪州、中南米、欧州の9カ国を周り、世界のサッカーシーンをレポート。
ドイツW杯取材を経て、2006年9月にバルセロナに移住した。移住後はスペインサッカーを中心に取材し各種媒体に寄稿。
2010年夏に完全帰国し、デジタルサッカー誌編集部、ビジネス誌編集部を経て、現在フリーランスのエディター&ライターとして、スポーツ、旅、ビジネスの分野で幅広く活動中。
著書に『サッカー馬鹿、海を渡る~リーガエスパニョーラで働く日本人』(水曜社)。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。