会が終わった後も8人がカフェに残っていた。そのうちの3人に感想を聞いてそれを確信した。
「私はもう朝モヤに参加するのは107回目でね。もともと哲学が好きだし、このカフェも気に入ってるんだ。顔見知りができて楽しいよ」
「私は通い始めて1年半ぐらい。なんで通っているのか、わからないんだけど(笑)、対話のない社会はいい社会じゃないと思っているんだ。だから自分のやれるところからやりたいという思いもあって来ています」
「仕事が忙しくて2か月ぶりに参加しました。人と話すことがすごく好きなので、朝モヤ欠乏症でしたね(笑)。自分のなかで朝モヤはとてもウェイトが大きいんです。普段、出会わないような人たちの意見を聞くのはすごく楽しいですよ」
なんと、3人とも朝モヤラバー。僕も近所に住んでいたら間違いなく通うだろう。それぐらい「脳みそに効く」感じがあるのだ。
僕の場合、ただ話を聞くだけでなく、自分でも意見を述べたことが良い体験だった。知らない人たちの前で自分の意見を公にするのは慣れていない、怖いという人もいるだろう。僕も、もしかしたら的外れなことを言っているかもしれない、アホだと思われるかもしれない、批判されたらイヤだな……という後ろ向きの思考が頭のなかに渦巻いた。
でも思い切って最初の一歩、最初の一口を踏み出すと、自分の言葉をほかの参加者が受け入れ、咀嚼してくれているのを感じる。それがなんとも嬉しい。

川内イオ