未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
127

「アーカスプロジェクト」は世界と守谷をつないでいる

文= 松本美枝子
写真= 松本美枝子
未知の細道 No.127 |10 December 2018
この記事をはじめから読む

#4コーディネーターたちの思い

 さて、予定の1時間を少し超えて、キッズツアーは終わった。御所ケ丘中の美術部の生徒たちは、さらにスタジオに残って作品をじっくり見ている。彼女たちに、普段は美術部でどんな作品を作っているの? と尋ねると「自分たちはいつも絵を描いているので、こういうインスタレーションの作品はちょっと難しいけれど、とても興味がある」と返してくれた。

 ガイドを終えた藤本さんと外山さんにこの話を伝えると、「やっぱり! 彼女たちはアーティストだからね」と藤本さんはにっこりして答えた。「オープンスタジオ」が美術を学び、作品を作っている中学生たちにとっても、何か刺激になる場でありたいと、藤本さんたちはいつも考えているのだ。
 アーカスプロジェクトのプログラムでは、この「オープンスタジオ」の案内はもちろん、市外の美術館に一緒に出かけるツアーを行うなどの、美術を学ぶ中学生の活動とのコラボレーションを行なっている。引率の先生たちも「守谷市はアーカスがあるから、美術の課外活動が盛んです」と教えてくれた。

 なにより藤本さんたちコーディネーターが、彼女たち中学生を小さな「アーティスト」として捉え、きちんと接していることが、すごくいいなあ! と私は思ったのであった。

外山さん(左)と藤本さん(右)
このエントリーをはてなブックマークに追加


未知の細道 No.127

松本美枝子

1974年茨城県生まれ。生と死、日常をテーマに写真と文章による作品を発表。
主な受賞に第15回「写真ひとつぼ展」入選、第6回「新風舎・平間至写真賞大賞」受賞。
主な展覧会に、2006年「クリテリオム68 松本美枝子」(水戸芸術館)、2009年「手で創る 森英恵と若いアーティストたち」(表参道ハナヱ・モリビル)、2010年「ヨコハマフォトフェスティバル」(横浜赤レンガ倉庫)、2013年「影像2013」(世田谷美術館市民ギャラリー)、2014年中房総国際芸術祭「いちはら×アートミックス」(千葉県)、「原点を、永遠に。」(東京都写真美術館)など。
最新刊に鳥取藝住祭2014公式写真集『船と船の間を歩く』(鳥取県)、その他主な書籍に写真詩集『生きる』(共著・谷川俊太郎、ナナロク社)、写真集『生あたたかい言葉で』(新風舎)がある。
パブリックコレクション:清里フォトアートミュージアム
作家ウェブサイト:www.miekomatsumoto.com

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。