博物館の入り口を出て坂を上がると、林に囲まれた斜面に沿って付属園がある。この付属園ではライチョウのほか、カモシカ、フクロウ、トビなどの野生動物を保護、飼育しているのだ。傷ついて保護され、ここにやってきた動物たちも多い。ライチョウの繁殖技術を確立するために、ノルウェーからやってきた、育てやすいスバーバルライチョウもいる。
付属園の入り口にあるスバーバルライチョウのブースを通り抜けると、いよいよライチョウ舎だ。
大きなガラス窓の向こうには、山を模したスロープが広がった展示室。その奥側のガラス窓に、ぴたりと張り付くようにして、ライチョウはいた。まるっとした体に小さな頭をすくめて佇む姿、小さな顔の中にある黒々とした瞳、なんとも言えずかわいらしい。まだら模様の夏羽もきれいだ。
そうか、君たちの仲間は、こんな小さいかわいらしい姿で、あの高い、厳しい山の中を生きてきたのか! と思った。
ライチョウはおとなしく、奥の窓際でじっと動かないままだ。
「しばらくはこのままあそこから動かないでしょうね。もう少ししたら餌を食べに、もっと見えやすい所まで動いてきます。またお昼頃戻って見に来ましょう」と宮野さんに促され、いったんライチョウ舎をでることにした。