ライチョウがまた動き出すまで、博物館に戻って常設展をみることにした。
山博のメインテーマは「北アルプスの自然と人」だ。朝見たとおり、3階の展望ラウンジでは北アルプス立山連峰の展望を楽しむことができる。そして2階では「山の成り立ち」「山と生きもの」という二つの常設展がある。「山の成り立ち」ではフォッサマグナや北アルプスの成り立ちが、映像や鉱物などを通して学べるようになっている。
もうひとつの「山と生きもの」の展示室では、大町の市街地から高山に至るまでの多様な環境の中で、野生動物たちがどのように暮らしているかをジオラマにして展示している。特に山岳博物館の象徴であるカモシカとライチョウについては、その生態を深く学べるようになっているのだ。
特筆すべきはこの展示室の剥製。まるで山の中で生きているように、生き生きとした自然な姿で作られている。オーストリアの著名な剥製師であるペーター・モラスさんが手がけており、その剥製は日本では数少ないという。
1階では「山と人」というテーマで、人が北アルプスとどんな関わり持って暮らしてきたか、その歴史を紹介している。さらに明治以降ヨーロッパから入ってきた「登山」の歴史など、北アルプスの麓ならではの豊富な資料を通して、山と人の関係を知ることができる。特に山岳事故の資料などは、胸を打つものがあり、圧巻である。

