あらためてモリウミアスの建物内や周辺を見渡すと、作者とタイトルのついた「作品」がいたるところにあることに気づく。
「アーティストが作品を制作しながらここに滞在するアーティストインレジデンスも行っているんです。条件は子どもへのワークショップを行うこと。最長で半年くらい暮らした人もいますよ。ほとんど海外からのアーティストで、たくさん問い合わせがあります」と油井さん。
聞けば、学びの場にアーティストを呼ぶことをとても重要だと考えているという。「アーティストって必ずしも決められたゴールに向かって何かをつくるわけじゃない。その姿勢は、正解を求めがちな子どもたちの創造性を引き出してくれます」(油井さん)。
私たちはたった2日の滞在だったけれど、大人にとっても、紛れもなくモリウミアスは学び舎だった。森や海で五感をひらく「自然体験」も、ひと昔前の人は当たり前にやってきたことだと考えると、私たちを取り巻く環境の変化に愕然としてしまう。
親の立場で、子どもたちにどんな体験をさせていける? という壮大な宿題をもらった。「教育に答えはない」。だからこそ、モリウミアスに足を運んで五感を開き、これからの子育てを、暮らしを、思い描く機会をまた持ちたい。