富士吉田市は、現在人口4万8721人(2019年7月1日時点)のまちに50軒近いうどん店がある。ちなみに、「うどん県」で知られる香川県は、28店/5万人ほどの比率。全国平均は、12店/5万人ほどだそうだ。
それでも、かつて富士吉田市にはもっと多くの店があったという。家で振舞っていた名残で、一見店と分からないような民家の一部を店としているところもあり、昼のみ営業、基本は相席、お冷や片付けはセルフなどといった基本的なルールも、その起源を思い起こさせる。
多くの手仕事の現場と同じように、吉田のうどんも後継者不足が深刻だ。店は減少の一途。しかし、そこで希望となっているのが山梨県立ひばりが丘高校のうどん部なのだ。
うどん部はもともと、2010年、授業でうどん店のホームページを作ったことに端を発する。そこで吉田のうどんを継承していくことの困難を知り、2014年に簿記などを扱う商業科目担当の大久保健先生を顧問としてうどん部が発足した。
それから5年。レシピ開発、イベント出店、大手メーカーと組んでのオリジナルめんつゆ開発、市内すべてのうどん店を取材してまとめる『Udon navi』の発行など、多岐に渡る活動を続けてきた。富士吉田市公認の観光大使も勤めていた実績をみれば、彼らにかかる期待の大きさがうかがい知ることができる。