未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
147

馬駆ける草原から桃源郷の森へ 安比高原で馬と暮らし、生きる

文= 川内 イオ
写真= 川内 イオ
未知の細道 No.147 |10 October 2019
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#21000年前の草原を現代に

ここは、岩手の安比高原。ブナ林が広がるエリアにある山小屋「ブナの駅」のすぐ近くで、初夏から秋にかけての数カ月間、馬たちが24時間、放牧されている。

子どもたちは、岩手北部森林管理署が主催する、地域の小学生向けの森林学習プログラムで安比高原に来ていた。その一環として盛り込まれたのが安比高原と馬の歴史について紹介する時間。馬を呼び寄せる前に、阿部さんから子どもたちにその説明がなされていた。それは、こんな話だ。

安比高原では1000年以上も前から馬の放牧が行われてきた。最盛期には700頭にも及ぶ牛と馬が放たれ、笹やススキなどを食べていた。その結果、安比高原には日本古来の野芝が広がる美しい草原になっていた。しかし、時代ともに馬が担っていた作業は動力機械に変わって急速に数が減少し、1985年頃から放牧が途絶えると、あっという間に樹木や雑草が生い茂った。

そこで、1000年前から続いていた美しい芝の草原を取り戻そうと、2012年に結成されたのが、市民団体「安比高原ふるさと倶楽部」。同団体は地元で馬を飼っている人たちの協力を得て、2014年から馬の放牧を始めた。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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