岩手県八幡平市
スキーリゾートとして知られる安比高原。観光客も少なく静かな時が流れる春から秋のグリーンシーズン、そこに馬が放たれたことで新しい風が吹き始めた。
最寄りのICから【E4】東北自動車道「松尾八幡平IC」を下車
最寄りのICから【E4】東北自動車道「松尾八幡平IC」を下車
おーい! おーーい!
ひとりの女性が、大きな声で呼びかける。しばらくすると、木立ちのなかから4頭の馬が姿を現した。その様子を見ていた子どもたちから、わあっ! と歓声が沸く。すぐに、それぞれが「お~い!」と声を上げ始めた。子どもたちの大きな声に慌てたり、怯えたりすることもなく、馬はのんびりとした様子で、パカパカと駆け寄ってきた。
「かわいい!」「すごい!」「触りたい!」と大騒ぎする子どもたちの前には、熊笹、山ぶどう、ススキ、ワラビ、ギシギシという5種類の草が置かれている。馬を呼び寄せた女性、阿部文子さんが、子どもたちのためにあらかじめ刈り取ってきたものだ。
阿部さんが「ひとり2種類、馬が好きそうな草を選んで、馬にあげてください」と言うと、子どもたちが我先にと草を手に取り、柵から顔を出している馬に与え始めた。このなかには馬が好きな草と、嫌いな草がある。実際の体験を通して、馬にも好き嫌いあることや、地元に生えている植物について知ってもらおうという阿部さんの試みだ。
私の食べた! 俺のは食べない! 撫でても大丈夫? もっと食べさせていい? 馬との触れ合いに夢中になる子どもたちの姿を見て、阿部さんは優しく微笑んでいた。