未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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暮らし、仕事、地域がとけあう 「100年続く服」から始まる“オガニック”なまちづくり

文= 小野民
写真= 小野民
未知の細道 No.160 |24 April 2020
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#5寄り合い所として

お話をしばらく聞いていると、なんともカジュアルに「どうも〜」と休業日の店に男性が入ってきた。一人さんと話し始めたので、私は店内を眺めながら2人の話を聞くともなしに聞いていた。

どうも、男鹿のまちのことをあれこれ話しているよう。2人とも和やかだが熱を帯びている雰囲気。しばらくすると、「じゃあまたな!」とこれまた井戸端会議からひょいと抜けるような気安さで男性は出て行った。

「いまの人は市会議員さん。若い世代の意見も聞こうと、僕のところにもたまに顔だしてくれるんですよ」と一人さん。

そんな話をしていると、今度は船木家の小学生の長女が店に入って来た。「こんにちは!」満面の笑みのあいさつに心が和む。そうか、彼女は東日本大震災のときには、お腹のなかにいて、この子との未来の暮らしを考えたからこそ、船木さんたちはここにいるんだ。無邪気な女の子の笑顔が、船木家が求めて実現してきた暮らしの豊かさを物語っていた。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。