お話をしばらく聞いていると、なんともカジュアルに「どうも〜」と休業日の店に男性が入ってきた。一人さんと話し始めたので、私は店内を眺めながら2人の話を聞くともなしに聞いていた。
どうも、男鹿のまちのことをあれこれ話しているよう。2人とも和やかだが熱を帯びている雰囲気。しばらくすると、「じゃあまたな!」とこれまた井戸端会議からひょいと抜けるような気安さで男性は出て行った。
「いまの人は市会議員さん。若い世代の意見も聞こうと、僕のところにもたまに顔だしてくれるんですよ」と一人さん。
そんな話をしていると、今度は船木家の小学生の長女が店に入って来た。「こんにちは!」満面の笑みのあいさつに心が和む。そうか、彼女は東日本大震災のときには、お腹のなかにいて、この子との未来の暮らしを考えたからこそ、船木さんたちはここにいるんだ。無邪気な女の子の笑顔が、船木家が求めて実現してきた暮らしの豊かさを物語っていた。