船木さんが男鹿に暮らして描く未来は、こう書かれている。
昔ながらの「街全体でこどもたちを育てる」、「街全体でお年寄りをフォローする」といった関係性や、自然の恩恵に感謝して囲む手づくりの食、手間暇かけ愛情を注いで育む日常をずっと大切にしていきたい。その先にわたしたちの求める男鹿らしいオーガニック=『オガニック』があると信じています。根本にはそういった想いがあるのですが、単純に、大人が日常を愉しんでいる街ってすごくかっこいいと思うのです。
(船川家守舎HPより)
「子どもたちに、男鹿で育ってよかった、住んでよかったと思ってもらえることがゴールかな」(友美子さん)
「また、服づくり専業に戻りたいですよ。自分たちは今がんばっているけれど、土台をつくったら、僕たちの世代は卒業して、また若い人やいろんな人がこの場所に可能性を見出してかかわってくれればいいですね」(一人さん)
取材を終え、おいとまする前にこの日2杯目のおいしいコーヒーをごちそうになった。聞けば、カフェオープンに向けて一人さんも、友美子さんも、娘さんまでも、コーヒーの入れ方を「特訓中」だそう。
湯気の向こうには、レジカウンターを挟んで会話する友美子さんと娘さん、すぐそばでアイロンをかける一人さん。最高の眺めだな、と思う。ここではたしかに、仕事と暮らしがとろけあっていた。