さて、私が取材に行ったときのホットな話題といえば、数ヶ月後に迫った『TOMOSU CAFE』のオープン。ここはいわば、ひのめ市、ひのめ商店という年に一度、月に一度のイベントが進化した場所で、単発のにぎわいだけなく、「日常にわくわくを落とし込みたい」という目的でできる飲食店だ。まちにわくわくするコミュニティをつくっていくために、人がいつでも集まれる場をつくろうとしている。
TOMOSU CAFEを運営するのは、これまでも一緒に活動してきた同年代の仲間たち。共同で『合同会社 船川家守舎』を設立し、それぞれ肉屋(福島さん)、コーヒー屋(佐藤さん)、服屋(船木さん)という、プロフェッショナルを生かしつつ、オガニックな地域の拠点をつくるのだ。
「岩手県の平泉に僕たちが大好きなSATOっていうすてきなカフェがあるんですよ。そこの方が『まちにとろける店』って言っていて、僕たちが目指す店にもぴったりの表現だと思ったんです。当たり前にある、風景に溶け込んでいる……言葉にするのが難しいんですがそういうイメージ。TOMOSU CAFEは、とろける店にしたい」(一人さん)
カフェの上にはいずれ子どもが遊ぶスペースを作りたい、という気持ちもある。さまざまな構想を聞いて「おふたりとも、すごいバイタリティですねぇ」と言う私に、友美子さんは「いつの間にかいろんなことをやっていますが、そんなつもりじゃなかったんですよ。自分たちの暮らしに必要だな、あればいいな、と思うことをやっているだけなんです」と言った。