未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
175

小さな森からのおすそ分け 100年後の森を描いて人が集う

文= 小野民
写真= 小野民
未知の細道 No.175 |10 December 2020
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#5「香り」と「食」を体験

ずらりと並んだハーブティーは、目にも嬉しい美しさ

さて、フィールドワークに話を戻そう。「じゃあ作業する前にブレンドティーをテイスティングしましょう」と7種類のお茶が用意されたラボへ。このラボ、なんともトキメク造作をしていて、参加者一同の女子たち(もちろん私も含む)うっとりとため息。

camino natural Labo.のハーブティーの原材料の多くは、寿香さん自身がこの地で育てたもの。ハーブティーは、8年前からイベントなどで対面販売している。体質や体調に合わせたブレンドは、勉強を重ねると同時に経験から少しずつアップデートしてきた。

ブレンドティーのテイスティングの様子

フィールドワークの時には、それぞれすべてのお茶をティスティングして、どの味が一番しっくりくるかを報告し合う。でも、体を動かした後にはどうやら好みが変わるらしいから楽しみだ。

そして森へ。といってもいきなりハードな作業をするわけではなくて、昼食のための火をおこした後は、森の中を散歩しておしゃべりしながら、寿香さんが教えてくれる森や自然との関わりにうなづいたり、考えを深めたり、という穏やかな時間で午前中は終わった。

  • 七輪で温めておいたスープをよそう寿香さん
  • 七輪の上に置いた土鍋で石焼きいも

「いつもきっちりスケジュールがあるわけじゃないんです。天気や人次第だし、緩やかなのがいいかなと思って」と寿香さん。すっかり森で過ごす心地よさに緩んだ気持ちになっていると、もうお昼。七輪に置いて温めておいたスープと石焼き芋がいい感じにできあがっていた。

  • あまりにおいしくて鍋いっぱいを5人で完食!
  • 「バター好き」の寿香さんの元に集まってきた各地のおいしいバターやハーブを混ぜたバターで、焼きいもやパンを楽しんだ

通常のフィールドワーク時には同じ明野にある「ホタル食堂」のお弁当が供されることが多いそうだが、この日はお休み。代わりにと寿香さんが作っておいてくれたスープは、豆や野菜がたっぷりなのに加えてスパイスの加減がちょうどよく、みんなで何度もおかわり。石焼き芋には、寿香さんとっておきのさまざまなバターをつけて。ハーブなどを混ぜた変わりバターも堪能した。出来立ての焼き芋とバターに、複雑な味わいの手作りスープ、楽しいおしゃべり……これぞ幸せ! ではないか。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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